初めて読む方は
第3話 美姫さんvsネコ partⅤ
「ギャァァ。」朝から叫び声で目が覚める。
何々?事件?火事?僕は飛び起きてリビングに行く。お父さんもビックリして飛び起きたようだ。「外からだったよな。」とお父さん。
「外からだった。火事かな?何か事件かな?」と僕。
僕とお父さんは二階に上がり道路に面した窓のカーテンの隙間から外を見る。パジャマ姿の近所の人たちが通りに出てきていた。
周りに煙は見えない。火事ではなさそうだ。じゃぁ、事件か?もう少しカーテンを広げて窓の外を見ながら近所の人たちの視線の先を追うと道路を見ている人もいるがどうやら猫の飼い主宅の辺りが騒がしい。
一人の女性がうちの方にずかずかと歩いてくるのが見えた。
「えっ?うちに来る?」僕とお父さんは慌てて二階から降りる。リビングにパジャマから普段着に着替えている美姫さんがコーヒーを飲んでいた。
「えっ?」僕とお父さんは顔を見合わせる。美姫さんがニコッと笑う。
―― ピンポーン ――
インターフォンが鳴る。
「ショウとこうちゃんはここにいてね。」と美姫さんは言い、「はい。今行きます。」とインターフォンの相手に答えた。
僕とお父さんはリビングで大人しく玄関の様子をうかがう。
「お宅のペンキだとおもうんですけどね。うちの車についていたんです。」とかなり口調の荒いおばさん。
「おはようございます。うちのペンキですか?また何で。」ととぼけている美姫さん。「ちょっと外に来てもらえます?」とおばさんはプリプリしながら言う。
「えぇ、いいですよ。」と美姫さん。美姫さんとおばさんは外に出て行った。僕とお父さんは二階に上がりまたカーテンの隙間から美姫さんとおばさんの様子をうかがう。窓を閉めていたら声が聞こえないのでお父さんがこっそりと少し開ける。
「ほら、見てください。お宅の敷地内から転々とペンキがですね。」とおばさん。「あぁ、そういえば昨日椅子にペンキを塗りました。昼間だと匂いがご近所の迷惑だと思ったので夜に。
でも、うちの敷地内で塗りましたけど。」と美姫さん。僕とお父さんは顔を見合わせる。「そんな事してたんだ。」と僕が言うとお父さんが同意する。
「ほら、道路にも転々とペンキの跡が付いているじゃないですか。」とおばさん。美姫さんが庭にあった椅子を見て「あっ、足跡がついている。」とものすごく悲しそうな美姫さん。「せっかく綺麗にぬったのに。」とその場に崩れる。
「あの椅子、それもピンクって……、何?」と僕がお父さんに聞くと「いやー。お父さんもはじめて見た。」とお父さん。何故かショックを受けている美姫さん目の前におばさんは少しひるんだ様子だった。
続く
※この短編小説ありのママはほぼフィクションです。登場人物・団体名・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。