短編小説 ありのママ

目には目をストーカーにはストーカーを

第13話 美姫さんvsストーカー

絵葉書が一通届いた。

手紙の内容からすると美姫さんとお父さんの知り合いの人が海外で結婚したらしい。美姫さんにその絵葉書を見せると「こうちゃんの知り合いじゃない?」と言った。

お父さんが帰ってきてからその絵葉書を見ると「おー。理恵子さんじゃないか。結婚したのか。ようやく、傷が癒えたんだな。」と言った。

そして、お父さんは「美姫さん。理恵子さんだぞ。」と美姫さんに絵葉書を見せた。美姫さんは首をかしげ「誰だっけ。」と言った。美姫さんの顔を見る限り、嘘は言ってないようだった。

「美姫さんが、助けた人だよ。」とお父さんが言った。
“美姫さんが、人助け?”僕はビックリした。
「記憶にございません。」と美姫さんは言った。

僕は、美姫さんの人助けに興味があったので、おとうさんにコッソリと聞いた。

「美姫さんが人を助けたって本当?」と僕が聞くと「本当だよ。ほら絵葉書にも“美姫のおかげ”って書いてあるだろう。」とお父さんはいい、美姫さんの人助けの話を聞かせてくれた。

ちょっとややこしい人間関係なんだけど、お父さんと美姫さんと広瀬さんは同じ小・中学校に通っていて、三人とも友達。

高校だけお父さんは違うとこに通っていたが、大学生になり三人はまた同じ大学に通う事になった。

理恵子さんって人も大学が一緒で、広瀬さんの友達。

美姫さんも同じ大学に通っていたが、相変わらず誰とも接触しないので、美姫さんと理恵子さんは顔見知り程度だった。

あるとき、理恵子さんは広瀬さんに別れた彼氏にストーカーされている事を相談した。

警察に相談しても、なかなかストーカー行為はなくならないらしく、どんどん警察の目の届かないところで被害が広がってきていた。

広瀬さんは、大学の仲間に皆で警察の目に届かないところは、自分たちで理恵子さんを守ろうと提案する。でも、限界もあるし、怖さもあった。

そんな中、理恵子さんの元彼氏のストーカー行為が止んだ。ぱったりと姿を見なくなったのだ。

あんなにしつこくしていたのに……。少し怖くなり不思議に思って元彼氏を探りに行くと、元彼氏はストーカーに悩まされ、実家のある地元に帰っていた。

連日の電話にメール、手紙。終いには毎日マンションの外のドアノブにお弁当がかけてあり、連日、宅配便の贈り物があったらしい。

警察にも被害届を出したらしいが、加害者にもなっている為か警察もあまり信用してくれないので、精神的に参って実家に帰ったそうだ。

その元彼氏をストーカーしていたのが、なんと美姫さんだったのだ。

広瀬さんは、美姫さんがその理恵子さんの元彼氏の事が好きになったんだと思い、美姫さんに辞めるように説得しに言った。

美姫さんは広瀬さんの説得にキョトンとした顔をして「私、ストーカーなんてしてないよ。人に嫌がらせをしている人を見つけたから、面白そうだから私もしてみただけだよ。第一、なんで好きな人に嫌がらせをしないといけないの?」と言ったそうだ。

でも、それが人助けになったんだから美姫さんはもしかしたらすごい人なのかもしれないなぁと僕は思った。

美姫さんにその男の人に何を贈ったのか聞いてみた。満面の笑みで「聞きたい?。」と美姫さん。その笑顔に僕は怖くなり、聞くのをやめた。

おしまい

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