第15話 僕vs携帯電話
僕の周りの友達もスマホを持っている人がほとんどだ。
「ショウも持とうよ。」と友達は言ってくるのだが、ぼくにとってスマホを持つという事は少し恐怖でもある。
その理由は、もちろん美姫さんである。
休みの日、お父さんと買い物をしている途中でお父さんのスマホが鳴り出す。
「ショウ、“ぬ”がつく言葉って何がある?。」と聞いてきた。
美姫さんが“しりとり”を挑んどきたらしい。
メールでしりとり。これ、美姫さんあるある。
「“ぬいぐるみ”でいいんじゃない。」と僕が言うとお父さんは早速スマホで『ぬいぐるみ』と美姫さんに返信する。
一分も経たないうちにまたスマホがなる。
「美姫さんから“みみ”との返事だから次は“み”だ。」とお父さん。こんな調子だと買い物もままならない。
それにたまになぞなぞバージョンもある。
なぞなぞは答えなければ永遠に問題がスマホの未読にたまっていく。
スマホの電源を切っても返信をしなくても美姫さん自体は全く怒りはしないのだが、あとでスマホを見ると未読に三桁の数字が書いてあることも珍しくない。
そのまま、消してしまっても何の問題も無いんだけど、たまにその中に大切なメールが入っていたりする。そうなってくるとそのまま消すってことも出来ない。
なぞなぞは後から答えることが出来るので、なぜかお父さんは律義に仕事から帰ってきてから美姫さんに答えている。
まぁ、こちらは美姫さんの気まぐれなので、月に2~3回ぐらいなのでまだマシだ。
ちなみにおじいちゃんにはしない。おじいちゃんは美姫さんのメールを喜んで返信しているらしいけど、なぞなぞの正解率が低いのと、しりとりは直ぐにおじいちゃんは負けるので、美姫さんいわく、全く面白くないらしい。
なぞなぞ・しりとり以外に厄介なのが、「○○のケーキ食べたい。」とか「身体がチョコレートを欲しています。」とか、買い物をしょっちゅう頼むことである。
平日の日中はお父さんは仕事なので、おじいちゃんが喜んでいそいそと買いに行ってるけど、お父さんが仕事の帰りに頼まれている事もたくさんある。あんなの学校の帰りにしょっちゅう頼まれたら……と思うと恐怖である。
「ショウはスマホ持たないの?。ショウがスマホ持てば、平日も楽しいのになぁ。」と美姫さんは言う。
「持ったとしても、学校にいる間はメールは出来ないよ。」と僕が言うと「えっ?何で?学校って遊ぶところじゃないの?」と美姫さん。
「勉強するところだよ。」と僕が言うと「ショウも大変なんだね。」と美姫さんはまじまじと言う。美姫さんは、学校で何をしていたのだろう。
学校の間はメールを送ってこないにしろ、終わったとたんにメールの嵐がおこりそうでとても恐怖だ。
だから僕はスマホを持たない。だって、怖いんだ。
おわり