短編小説 ありのママ

一番危険なのは美姫さんです part②―どちらが悪い?!―

初めて読む方は

ありのママ  【美姫さん帰省編①】 

第18話 美姫さん帰省 partⅡ

パーキングを出て高速道路に出ると、4人を乗せた軽自動車はノロノロ運転を始めた。
「何だ?あの車、制限速度以下じゃないか?。」とちょっと怒り気味のお父さん。

お父さんは、軽自動車のかなり後ろで距離を保ちながら車を走らせていた。
「いい感じだねー。」と薄ら笑いの美姫さん。

すると、僕らの車を追い越していった大型トラックが軽自動車の後ろについた。大型トラックは、ノロノロ運転をする軽自動車を避けようと右ウインカーを出す。その時、軽自動車が右車線に車線を変えた。

「えっ?。」お父さんが声を出す。

『ぶっぷ―。』大型トラックがクラクションを鳴らすも軽自動車は避ける様子はない。
大型トラックの運転手さんは、腹を立てたのかその軽自動車をあおり始めた。

「アハハ。ひっかかっちゃった。」と美姫さんは笑う。
笑い事じゃないと思うんですけど……。

「ひっかかったって、あの軽自動車わざとスピード落としてたり、進路を塞いだりしてたのか?。でも、あれ危ないよな。警察に連絡するか。」とお父さんが言う。

「多分、次のパーキングエリアで止まると思うよ。」と美姫さん。
お父さんも僕も心配になる。

次のパーキングエリアの表示看板はすぐに出てきた。
「本当にここに寄るのかな?」僕は心配になる。なんの根拠があって美姫さんはそんなことを言うんだろう。

僕たちの車からは大型トラックが右に行ったり左に行ったり、ブレーキランプがついたりとかしか見えない。

パーキングエリアの入り口が見えてきた。大型トラックが左に行く合図を出す。
「あっ。本当だ。」と僕が言う。美姫さんの言う通りになってきた。

僕たちもパーキングエリアに入ると美姫さんは先ほどの二台の車を確認し、「あの車の近くに停めて。」とお父さんに言った。

美姫さんの視線の先には、先ほどの軽自動車に乗っていた4人組と大型トラックの運転手のおじさんが車から降りて何かを話しているのが見えた。

おじさんが初めは怒っているように見えたが、4人組のひとりが自分のスマホをトラックの運転手に見せ始め、おじさんに何か言っていた。すると、おじさんが急にその4人組に何かをお願いする様子に変わってきた。

そして、おじさんは、ポケットから財布を取り出し、その4人組にお金を渡した。
「ゆすりだな。」お父さんが言った。

「さぁーて、行きますか。」と車を降りようとする美姫さん。
「美姫さん。ちょっと待って。」と慌てた様子でお父さんが美姫さんを止める。

「なあに?」と美姫さんが聞くと「もしかして、あの若者たちを“ゆすり”に行くのかな?。」とお父さんが言う。

「ピンポーン!。」と満面の笑みの美姫さん。

「ダメ。」とお父さん。「えーっ。何で?。絶対に“ゆすれる”って。証拠はあるし。」と美姫さん。
「絶対にダメ。犯罪です。そのビデオ映像は、警察に提出しよう。」とお父さん。

ものすごく残念そうな美姫さん。しぶしぶお父さんの指示に従う。

その後の道中は、また美姫さんは寝始めた。

おじいちゃんの家に着いて美姫さんは、先ほどあった話をおばあちゃんにする。
「あら、勿体ない。」とおばあちゃん。

美姫さん。おばあちゃん。捕まるよ。

その後、美姫さんが撮ったビデオはうちの車のドライブレコーダーの映像と共にお父さんが警察に提出した。

4人組は警察に呼ばれたらしい。
ただ、警察も何でゆすりの現場を最初から撮影できているのか疑問に思っていた。
お父さんが「会話が聞こえたので、もしかしたらと思って撮影していました。」と言い訳していた。

“感”が、はたらいたなんて言えないよね。

おわり

※この短編小説ありのママはほぼフィクションです。登場人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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