fic-tion’s diary フィクションの創作日記

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ありのママ 【美姫さんvs車】

 美姫さん vs   車 編 ①

美姫さんは、僕のお母さんです。僕を産んでくれた人です。でも、僕は「お母さん」とも「ママ」とも呼びません。美姫さんは、美姫さんなのです。それ以上でもそれ以下でもありません。


「それにしてもすごい人だな 」日曜の昼下がり、僕はお父さんと二人で買い物に来ていた。家に補充するための何日分かの食料と日用品、それと溜まった用事を二人であっちにいったりこっちに行ったりしながら片付けていく。

 

僕とお父さんと二人、美姫さんは一緒には来ていない。

 

美姫さんは、仕事でも体調が悪くて寝込んでいるわけでもない。ほかの用事があるわけでもない。休みの日ぐらいゆっくりしていてね—— という、お父さんの優しさでもない。

 

ただ、単に家にいる。今日も出掛ける気分ではないらしい。というか、人ごみが大嫌い。だから、世間がお休みの時は出掛けない。人を蹴散らして歩きたくなるらしい。これが、美姫さん。僕とお父さんは納得済みの事。

 

お父さんと用事をすましているとお父さんの携帯電話が鳴った。
携帯電話の画面をみてお父さんは首をかしげる。
「どうかした?」僕が聞くと「知らない番号なんだ。」と言いながら、電話を取るかどうか悩んでいるようだった。しかし、鳴りやまない電話音に渋々と電話に出る。
「もしもし?」お父さんが怪訝な様子で、電話口でそう言うと電話の相手が話を始めたようだ。電話の相手の話にお父さんの顔がみるみるうちにさらに怪訝な表情になってきた。

 

人ごみの中、相手の声が聞こえにくいのか、お父さんは人のいないほうへと歩き出した。僕は慌てて後を追いかける。お父さんは怪訝な顔をしながらも電話に集中している。僕は、お父さんを見失わないように必死についていく。

 

「その人って本当にそう名乗ったんですか?」お父さんは、少し怒った口調で電話の相手に答えている。「まぁ、わかりました。一応、そちらに向かいます。」と納得いかない様子でお父さんが電話をきる。
その様子に「どうしたの?」と僕が聞く。
「オレオレ詐欺かな?美姫さんが、事故にあったって。」とお父さんが首を傾げた。

 

確かに、僕たちが家を出るときにはいつものように家にいた。出掛ける様子は一ミリさえも感じなかった。むしろ、美姫さんが一人で出かけるはずはない。美姫さんが事故にあうよりもなにも家から一人で外に出たというほうが僕たちには事件だ。
“美姫さんに家を出ないといけない何かがあったに違いない。”僕とお父さんの頭の中がリンクした。そっちの方が心配だ。
僕たちは急いで家に帰ることにした。

 

続く

 

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