fic-tion’s diary フィクションの創作日記

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ありのママ【美姫さんvsくるま編⑤】完

初めて読む方は

ありのママ  【美姫さんvsくるま編①】 

 

 美姫さんvs車 ⑤ 完   

 お父さんがナースステーションに美姫さんの目が覚めた事を報告に行く。


しばらくして、お父さんと女医さんが一緒に部屋に入ってきた。
「おぉっ。初めましてだね。」とその女医さんはニコニコしながら、僕を見て言った。そりゃそうだ。この病院には来たことが無いし、僕がここに来たのは初めてだ。とりあえず「は、はじめまして。」と僕はペコリと頭を下げる。僕が誰だろうという表情をしていたのだろう。おとうさんが「美姫さんの幼馴染だよ。」と教えてくれた。


「おい。美姫。何が“会いに来たよ”だよ。そりゃさ、この前久しぶりにおばさんに会って“美姫に会いたい”とは、言ったよ。でもさ、事故にあって運ばれてきて、“会いに来たよ”は無いでしょ。全く。普通に会いたかったのにー。」と女医さんは言った。

 

「だって、会いたかったんでしょ。」と美姫さん。「そりゃ、会いたいに違いないけど。ゆっくりお茶でもしたかったなー。でも、これが美姫なんだよね。」と女医さん。
「じゃぁ、帰るね。あと、よろしく。」と美姫さんはその女医さんに言った。「了解。でも今度はちゃんとお茶に付き合ってよね。」と女医さんは言った。「そだねー。」と美姫さん。
その返答に僕とお父さんは顔を見合わせた。

 

“そだねー”と美姫さんが返答する時には、相手の話を聞いていない時だ。この前のオリンピックの中継で、美姫さんは“そだねー”にはまった。そして、“そだねー”を連発し始めた。その結果、なぜか適当な相槌を打つ時に“そだねー”を使うようになった。まぁ、基本的に美姫さんが人の話をちゃんと聞いていることなどないのだけど。


帰りの車の中で美姫さんは、いつもの美姫さんに戻っていた。
「とりあえず聞くけど、たまたま車に当って、たまたま幼馴染の西川さんの病院に行ったわけ?」とお父さんが聞く。「偶然って重なるものだね。今回は、面白いぐらい筋書き通りにいったから、何かいいことが起こりそうな予感。」と美姫さんは、上機嫌で言う。


「怪我が無くて何よりだったけど、あまり無理はするなよ」とお父さん。「そだねー。」と美姫さん。

 

それからしばらくして風の便りが流れてきた。事故を起こした人物は、地元の大学に通う大学生だった。車は廃車になったらしいが車のローンだけが残り、ぶつかった塀の修理代と多額の借金を背負うことになったらしい。

 

路地をものすごいスピードで突き進む動画がネットに流れ(多分、美姫さんの仕業)、バイト先も首になり、どこに行っても針のムシロ状態。うちの近所に住んでいたが、引っ越しまで余儀なくされたらしい。

 

良い事といえば、家の前の路地でスピードを出しながら走る車が一台減ったという事と、美姫さんが事故にあったということで美姫さんのお父さん、僕からみたらおじいちゃんが怒り狂い、近所の人しか通らない道にもかかわらず、速度制限と通学時間帯の進入禁止の道路標識を立てさせた。

 

たまに警察が立っている事もあり、おかげで車の人間からすると面倒くさい道路になり、交通量が減り、僕たち歩くだけの人間には歩きやすい道路になった。

 

おわり