ありのママ【美姫さん高校生編①】

美姫さん高校生 ①

美姫さんの機嫌がすこぶる悪い。悪い原因は何となくはわかる。


今、僕と美姫さんはおばあちゃんちに来ている。おばあちゃんちと言うのは美姫さんの実家だ。

 

美姫さんは、自分の家が大好きだ。美姫さんの中での自分の家とは、僕とお父さんと住んでいる家で、元々住んでいた家(実家)はもう自分の家ではないらしい。だから、実家に帰る事さえも嫌がる。

 

美姫さんの機嫌とは真逆でおじいちゃん——美姫さんで言うとこのお父さん——は、美姫さんと僕が訪れた事にもの凄く喜び、美姫さんが食べたいといったケーキを買いに出かけて行った。うん。やっぱり執事だ。


嫌がる美姫さんがここにいるのには、ちゃんと理由がある。まぁ、理由が無ければこの状況は皆無に等しい。で、理由というのが、この前お世話になった美姫さんの幼馴染の女医さん——ありのママ1 参照――が、画策したからなのです。

 

女医さんの名前は広瀬さんと言った。あの病院は、広瀬さんの実家が経営している病院ってことだったわけ。

 

あの事故の後、車に接触してないにしろ、あれだけのことをやったんだから再診にくるように広瀬さんにきつーく言われていたのを美姫さんが無視をし続けていたら、美姫さんの実家に広瀬さんが来て、美姫さんが病院に来ない事を美姫さんの両親に言ったもんだからさぁ大変。

 

美姫さんの事となると目の色がかわる騒ぎでは済まないおじいちゃんが、あの手この手で美姫さんに再診を受けさせようとして、ようやく両親のうるささに根負けした美姫さんが実家で診察を受けるという事ならと渋々了承して、今こんな事になっている。


でも、僕からしたら広瀬さんと美姫さんの両親が美姫さんと会いたかったから、そんな理由にしたんじゃないかと思った。

 

まぁ、こんなことでもしないと美姫さんは家から出ないんだけどね。自分のテリトリーに人を入れる事も嫌うから、家に人も呼ばないし。


「美姫が事故にあって運ばれてきたって聞いた時、一瞬ビックリしたけど“もしかして……。”って思ったら、案の定『会いに来たよ。』だもんね。美姫は変わらないね。」と広瀬さん。

 

美姫さんは、それに返事をするかのように大きなあくびをして「寝る。」と言い、おばあちゃんちのリビングのソファーに横になった。その様子を広瀬さんは嬉しそうに眺めている。


「あのー。“もしかして”って、前にも同じことがあったんですか?」と僕が聞くと「あったよ。高校の時にね、その時は自転車相手だったけど。」と広瀬さんは言い、その話を教えてくれた。

 

~つづく~

 


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