短編小説:ありのママ【美姫さん高校生編③】

初めて読む方は

ありのママ 第六話 【美姫さん高校生編①】 - fic-tion’s diary フィクションの創作日記

 

  美姫さん高校生編③

 

“美姫……だよね。他人の空似?

 

”美姫さんと思われるその女子高校生とは距離が少し離れていたので目でその姿を追う。確信は持てないが、何か気になる。


その女子高校生は、松下さんが自転車のおじさんとぶつかって怪我をした道に入っていった。


「あの道、大丈夫かな。」と広瀬さんがつぶやく。その声に一緒に帰っていた友達もその女子高校生に気付く。


すると、その女子高校生の後ろの方にあの自転車のおじさんが現れた。

 

「あれ、ヤバいよね。」広瀬さんたちが言い合う。美姫さんという確信が持てないので、なかなか声をかけづらい。

 

おじさんは、キョロキョロ周りを見渡した。

 

広瀬さんはおじさんが、意図的にその道を通っている事に気付いた。


美姫さんにしろ、全然違う女子高校生にしろ、あのおじさんの被害者を出すわけにはいかない。しかし、信号待ちでアタフタしている広瀬さんたちを尻目におじさんは、その女子高校生の真後ろまできた。

 

「コラ。じゃ……。」とおじさんが言った所で、その女子高校生が道をふさぐように倒れた。

 

女子高校生が道をふさぐように倒れたために、おじさんは慌てて自転車のハンドルを切った。自転車が塀にぶつかり倒れた。おじさんも倒れた。


「大丈夫ですか―!」ようやく信号が変わり、広瀬さんたちが叫びながら女子高校生の元に走り寄る。

 

その光景を見た人たちが、何事かとその周りに集まる。

 

女子高校生と自転車のおじさんの周りには人だかりができていた。

 

倒れている自転車と高校生の女の子。自転車vs人間。無言でおじさんを皆がジロッと睨みつける。

 

女子高校生が突然「痛ーい。痛ーい。」とその場にうずくまり泣き叫び始めた。それを見て皆がさらにおじさんをジロジロにらみつける。

 

そして誰かが「警察……。」とつぶやいた。

 

それを聞いたおじさんは慌てて立ち上がろうとする。「あいたたたた。」おじさんも身体を打ったようだったが、誰も心配するものはいない。おじさんは、自転車をおこす。塀にぶつかった衝撃で、少しハンドルが曲がっていた。

 

「これ、事故だよな。」と言う声が聞こえてきた。「自転車は車道を通らないといけないんじゃなかったっけ。」と言う人。「歩道を走るなら、押して乗れよ。」と様々な声が聞こえてくる。

 

おじさんは痛む身体に曲がった自転車をおこし慌ててその場を逃げる。「逃げるのか。」と誰かが言った。

 

「う、うるせー。」おじさんは、ハンドルの曲がって制御のしにくい自転車を押しながら逃げて行った。

 

~つづく~

 

 

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