ありのママ 第十二話 【美姫さんvs黒い生命体編】

家にゴキブリが出た。

そりゃ出るだろう。ゴキブリはどんな場所からでも出入りが出来るらしいから仕方がないと思う。でも、美姫さんは違う。

「こうちゃん。ゴキブリが家にいたから、引っ越ししなきゃ。」と美姫さん。

「うーん。ここの家、持ち家だしな。そう簡単には引っ越せないよ。」とお父さんは言う。

「じゃぁ、燃やす。」と美姫さんは言いだした。

「犯罪だよ。美姫さん、捕まるよ。」と僕が言うとものすごくショックを受けていた。

自分の家に火をつけようなんて……美姫さんの頭の中はどうなっているんだろう。

それから数日たったある日の休日、いつものように美姫さんは家で留守番、僕とお父さんは買い物に出かけた。

いろいろと用事を済ませて、家に帰ると家の前に近所のおばさんが立っていた。

「あっ。良かった。家から煙が出てるから、火事じゃないかって見てるんだけどね。火事にしちゃ様子が変だし。」とおばさん。

おばさんが指を指したところを見ると、窓の隙間らしきところから煙がモクモクと出ていた。慌てて僕とお父さんは玄関を開ける。

煙がドバっとあふれ出してくる。その煙の臭いを嗅いだお父さんが「害虫駆除剤の臭いだ。」と言った。

「ショウはここで待ってて。」と僕を外に出すとお父さんは、口をハンカチで抑えながら家の窓を開けはじめた。一つあけるたびにブワッと白い塊が出る。窓を開けてしばらくたったところで、家に入った。

美姫さんは、どうしたんだろう。外に出たんだろうか。もしかしたら、家から出たくないと家の中にいて、この煙にやられたんじゃないか。僕とお父さんは不安になる。

家の中に入り、「美姫さーん。」と名前を呼ぶ。返事が無い。
「美姫さーん。」もう少し大きい声で名前を呼ぶ。

するといつもの美姫さんの定位置のソファーの所からムクッと起き上がったものがあった。

ガスマスクに防護服を着た美姫さんだった。

いつものようにソファーに寝ていた様だった。
その姿にお父さんとぼくは顔を見合わせてしまった。

「美姫さん、害虫駆除剤を使うときは、家から出ないといけないんだよ。」とお父さんが言うと「だから、この格好しているんだけど。」と美姫さん。

その他にも害虫駆除剤を既定の量より多く使っていたことも判明した。
「だって、その方が効き目がありそうじゃない?」と美姫さん。

美姫さんがお父さんに注意されたことは言うまでもない。




おわり
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