短編小説:ありのママ【美姫さんvs苗字編】

美姫さんvs苗字編

僕のお父さんはいわゆる“婿養子”だ。


ぼくも周りに言われるまでは気付かなかった。


僕のおじいちゃんは僕の学校のPTA会長をしている。苗字は“斉藤”だ。僕の苗字も“斉藤”だから周囲の人に“父方のおじいちゃん”と思われている。


“母方のおじいちゃん”と言うと今度は“お母さんの実家が名前を継がないといけないお仕事をしているの?”とか“お母さんは一人っ子で、お父さんに兄弟がいるのね。”とか言われる。


おじいちゃんは継がないといけないような家業はしていない。それと、お父さんもお母さんも一人っ子だ。


美姫さんに「どうして、美姫さんの苗字になったの?。」と聞いた。


美姫さんが一言「私が、ジャンケンに勝ったから。」と言った。
「ジャンケン?」と僕。なぜ、そこでジャンケンが出てくるのかがわからない。


「婚姻届けを出すときにね、こうちゃんとどっちの苗字にするかジャンケンをしたの。将来を決めることだからね、ちゃんと五番勝負にしたよ。」と美姫さん。
「それで、美姫さんが勝ったの?。」と僕が聞くと「こうちゃん、ジャンケン弱いんだもん。ストレート勝ち。」と誇らしげな美姫さん。


「でも、なんでジャンケンにしたの?。」と僕が聞くと「結婚するって、婚姻届けに名前を書くだけじゃないんだよ。苗字がかわった方は、免許証から銀行の通帳、その他自分の名前で登録している物の名前を変えなきゃいけないんだよ。」と美姫さん。


「だから、ジャンケンにしたの?。」と僕。「そう、公平にね。でもね、ショウ、ここだけの話だよ。こうちゃんには内緒ね。」と美姫さん。


「なに?」と僕が聞くと「実はね、私が名前を変えなきゃいけないものって、免許証と銀行口座一つだけだったんだ。」と美姫さん。

 

「お父さんは?。」と僕が聞くと「なんか、すごく大変そうだった。免許証に会社の名刺に銀行の口座も何個もあって、ほら、こうちゃんは株とかしているでしょ。それの名義変更して。何かの資格も持っていたからそれも変更して……、大忙しだったよ。」と思い出し笑いをしている美姫さん。


内緒って事は少しは反省しているのかな?

でも、美姫さんの公平って何だろう。

 

美姫さんに最後に聞いた。

「もし、僕も婿養子になったらどうする?」って。

美姫さんは「ショウはショウでしょ。別に構わないよ。ショウ・ド・ジョンソンでもショウ・デ・スミスでも。」と美姫さん。

国際結婚限定??

 

 

番外編:美姫さんのショウの好きなところ編 

 

僕が「ねぇねぇ、美姫さん。僕のどこが好きなの?。」と聞くと美姫さんが「どこ?。」が少し考える。そして、「上から順番に言うね。」と言った。

上から?と僕は思った。

 

「まずは、つむじ。それから、つむじから生えている少し立っている毛。自由自在に毎朝ついている寝ぐせも大好き。右もみあげのふわっとなった所。左のもみあげの少し右のもみあげより長い所。後頭部の頭の凸凹した感じとそれをカバーできてる後頭部髪の毛。前髪の短いのも好き。ショウの行動をコントロールしている前頭葉でしょ。記憶力がいい側頭葉も好き。‥‥‥それから、右の眉毛のたくましい毛‥‥‥‥右手の親指のちょっと深爪になっている爪‥‥‥‥。」と美姫さんは言いだした。

 

僕は聞いたことを後悔した。

 

おわり

 

 

 

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