短編小説:ありのママ【美姫さんvs自転車泥棒】

美姫さんvs自転車泥棒

「ショウ、自転車は倉庫にいれたのか?。」とお父さんが聞く。

 

「入れたよ。おばあちゃんから、ここ辺りで自転車泥棒が増えているから気を付けなさいって連絡があったから。」と僕が言う。「お父さんもそれ聞いたぞ。」とお父さん。

 

家の近所で家に置いてある自転車を誰かが泥棒しているらしい。僕んちは、駅から割と近い、おばあちゃんが言うには、駅で降りた人が家に帰るのに自転車を泥棒して乗って帰っているんじゃないかという事だった。


「人の自転車なんか取って何になるんだろうね。取るんだったら、もっとお金になるものにすればいいのに。」と美姫さん。

 

そういう問題ではないと思うよ。

 

それからしばらくして学校から帰ってくると、見知らぬ自転車が家にあった。
「美姫さん、これ誰の自転車?。」と僕が聞くと「まさおくんのを借りて来たんだよ。」と美姫さん。

 

美姫さんが、自転車に乗ったところを僕は見たことがない。何に使うのかなと思っていたが美姫さんが「家に入っておやつにしよう。」と言い、その自転車を倉庫に片付けた。


夕方になり日が暮れたころ突然、美姫さんが「ちょっと、外を見てくるね。」と言い、外に出た。


僕とお父さんはテレビを見ていたので、美姫さんが外に何をしに行ったかは気にしていなかった。美姫さんは、5分もかからないうちに家に戻ってきた。


そして、3人でテレビを見る。
それから1時間ぐらい時間がたって、僕はもう寝る時間になった。


「ショウくん、寝る時間だよ。」とお父さんが言い「じゃぁ、寝るね。」と自分の部屋に行こうとした時、家の外から「ギャァー。」と大きな声が聞こえてきた。


僕とお父さんは顔を見合わせて、声のした方の窓のカーテンを開け外を見る。僕の家の駐車場の前にたたずむ一人の学生服姿の男の人がそこにはいた。しきりにお尻を気にし、何故か嗚咽していた。


僕たちの後ろから美姫さんが現れた。そして「自転車泥棒だ。」と言った。

 

「えっ?。」僕とお父さんは美姫さんを見る。確かに男子学生の隣にあるのは、美姫さんがおじいちゃんから借りてきた自転車だ。

 

すると、先ほどの大きな声に反応した近所の人が僕の家の駐車場の周りに集まってきていた。お父さんはそれを見て外に出る。僕もその後を追う。

 

外に出ると魚の腐ったような生ごみの様なものすごい臭いにおいが辺り一面に漂っていた。近所の人も鼻と口を押えている。あまりの臭さに家に帰っていく人もいた。

 

においは、自転車の横にたたずみお尻を気にしている男子学生の方から強烈に、におっていた。

 

その時どこからともなく「自転車泥棒だ。」という声が聞こえてきた。男子学生がその声に、驚いていて逃げようとしたが、それに反応した近所の人にすぐに取り押さえられていた。誰かが警察に連絡して警察が来た。

 

「これは、僕の自転車だ。」と言い出した男子学生。自転車には、デカデカと“さいとう”と書かれていた。「きみは”さいとう”って名前なのか?。」と警察の人。「“さいとう”さんちは、この駐車場のお宅ですよ。」と集まってきていたご近所さんが言った。

 

その言葉に男子学生の挙動が不審になっていく。

 

今度は男子学生が、「自分は何もしていない。」と言い出した。男子学生のお尻が濡れていてそこから猛烈ににおいが発されていて、自転車のサドルにカバーがかかっていたのだが、それも同様に濡れたような感じになっており、男子学生が僕の家の自転車に乗ろうとしていたのは一目両全だった。


男子学生は、警察に連れて行かれた。警察は、警察車両に乗せようとしたが、あまりのにおいに歩いて連行していった。(駅前に交番があるので、徒歩圏内)

 

その後、警察の鑑識の人たちが来て、自転車の周りを調べていた。みんなあまりのくささに涙目になっていたのが、少し可哀そうだった。

 

美姫さんが、みんなが帰った後にサドルのカバーをはずした。

そこには、シュールストレミングが袋に入っていたものが隠されていて、その袋が破れていた。

それがにおいの原因だった。

「あぁ、せっかく隠してたのに。」と美姫さん。


その後、おじいちゃんは洗っても取れないにおいに諦め、自転車を買い替えていた。

 

今回はおじいちゃんが一番可哀想だった。

 

 

おわり

 

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