fic-tion’s diary 

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美姫さんの個人レッスン

ありのママ 第54話

美姫さんvs康夫さん

 

 

学校から帰ると美姫さんが電話をしていた。

 

「じゃぁ、回ってないお寿司ねー。」と言い、電話を切る。

「どうしたの?。」と僕が聞くと「結花から電話があってね。『やっくんが、美姫の真似をして家事をしなくなった』って困っているらしいんだわ。だからね、康夫くんに師匠としてちゃんと指導してくれって。」と美姫さん。

 

「で、なんでお寿司なの?。」と僕が聞くと「指導したら、報酬を貰わないとね。ショウも回らないお寿司食べに行こうねー。」と美姫さん。

 

美姫さん、何を教えるのか分からないけど、やけに高い報酬だね。

 

お父さんが帰ってきて、美姫さんに今度のお休みの日にみんなで広瀬さんの家に行って美姫さんが康夫さんに師匠としての家事の指導をしてからその報酬に広瀬さんからお寿司をごちそうになる旨を話す。

 

とたんにお父さんが康夫さんに電話をし始めた。「康夫くん、家電製品が壊れるかもしれないけど大丈夫か?。」と電話口で話すお父さん。「そんなに簡単に壊れるものじゃないから大丈夫。」と言っている康夫さん。「ちゃんと、忠告はしたからね。まぁ、楽しみにしているよ。」とお父さんは言い電話を切った。

 

実は美姫さん、家で掃除も洗濯もしない。お父さんからストップがかかっている。

これは、僕が物心ついた時から始まっていて、僕はどうしてお父さんが美姫さんにストップをかけているのかは知らない。

 

休日に三人で、広瀬さん宅に行く。

いつもは、外出を嫌がる美姫さんも「お寿司♪お寿司♪。回らなーい♪。」とよくわからない自作の歌を歌い楽しみにしていた。

 

広瀬さん宅に着くと広瀬さんが待ってましたとばかりに僕たちを歓迎してくれた。

「やっくんがね、共働きの時は家事分担でちゃんとしていたのに、仕事を辞めたとたん、家事をしなくなってね…。よく聞くと美姫を見習っているって言うんだよ。美姫、どうにかしてよ。」と困り顔の広瀬さん。

「任せときなさい!。」と美姫さん。

 

そして早速美姫さんは、康夫さんに「では、まず食事の支度の指導から始めます。」と言った。僕とお父さんは顔を見合わせて失笑する*1。美姫さんは、何を作る気なんだろう。

 

「何を作ろうかな?…。」と美姫さんは考えて、「では、私の得意な肉じゃがを作ります。」と言った。僕は、美姫さんが料理をする姿を始めてみる。

するとお父さんが前に教えてくれた通り、首をかしげながら料理する美姫さん。

 

その横で、美姫さんの料理を見ていた康夫さんの顔がこわばる。その様子を見ていた広瀬さんが「やっくん、料理得意なんだよ。」と言う。

 

そして、ついに「美姫さん、ごめんなさい。」と康夫さんは言い、「見てられない。それは、料理じゃないよ。美姫さんは、出来ないんだね。」と康夫さんは言った。「分かればよろしい。」と一言美姫さん。

 

うん。何かおかしい。

 

その後、今度は美姫さんの掃除の指導が入る。僕は美姫さんが掃除機をかけている姿も見たことがない。始めてだ。すると、下準備もせずに掃除機をかけ出す美姫さん。

 

落ちている物を片っ端から吸おうとする美姫さん。食卓の椅子も掃除機の柄で除けようとする。「美姫さん、あんな掃除機の使い方するから、すぐに掃除機が壊れるんだよ。」と小声で僕にお父さんが教えてくれた。すぐに康夫さんが「美姫さん、ごめんなさい。出来ないんだね。」と謝る。「分かればよろしい。」と誇らしげな美姫さん。

 

うん。絶対におかしい。

 

次に洗濯の指導に入った。かごに入っている物を片っ端から洗濯機に入れていく美姫さん。その横で「あの…美姫さん…、ポケットの中身とか…見ないのかな?。」と心配そうにしている康夫さん。そんな康夫さんを尻目に「まだ、隙間があるから何か汚れ物は無いかな?。」と美姫さんは言い、広瀬さんの家の汚れ物を探し始めた。

 

「結構な量、入ってるけど……。」と康夫さんが力なく言うも全く聞いていない美姫さん。そして、飾ってあったフィギュアを手に取り、「少し誇りが付いてるから洗ってあげなきゃね。」と洗濯機に持っていこうとする。

 

「美姫さんは、洗濯機はなんでも洗えるって思ってるからな―。ショウのプラスチックのおもちゃも洗濯機でよく洗ってた。」とお父さんが僕に教えてくれる。

 

洗濯機って、プラスチックが洗えるの?。

 

すると慌てて「美姫さん、ごめんなさい。美姫さんは“しない”じゃなくて“出来ない”んだね。出来ない人と同じようにしようとしていた自分がバカでした。」と康夫さんが観念した様子で美姫さんに謝った。

「分かればよろしい。」と美姫さんは言い、「じゃぁ、お寿司食べに行こう♪。」と言った。

 

ねぇ、美姫さん、それでいいの?。

 

その後、広瀬さんからとっても美味しいメロンが届いた。康夫さんが「出来ない人にやれっていうのと出来る人がしなくていいのは、違うんだね。」と言って家事をすべてやってくれるようになったそうだ。

 

おわり

 

 

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