短編小説:ありのママ【美姫さんvs進化】

美姫さんvs進化

「美姫さん、家に毎日いて退屈しないの?。」と僕が聞く。


「そんな質問、邪道だよ。ショウにゲームばっかりして退屈しないの?って聞いてるのと一緒だから。」と美姫さんは答える。美姫さんにとって家にいる事は、僕がゲームをしているのと同じことなんだと少し衝撃を受ける。

 

「でも、ゲームは手を動かしたり、頭を使ったりするけど、美姫さんが家でしているの呼吸と心臓を動かしているのだけでしょ*1。退屈しない?。」とぼくが聞くと、「ショウ、人は進化する生き物だよ。私だって、進化しているんだよ。」と美姫さん。


僕はさらに驚いた。「美姫さんは、どういうふうに進化しているの?。」と僕が聞くと「今はね、天気をつかさどる訓練している。」と美姫さん。
「はぁ?。」と僕が聞くと「私は、天気が思うままに操れたら、もっと毎日が充実すると思う。」と美姫さん。

 

「美姫さんは、今、雨乞いみたいな事をしてるって事?。」と僕が聞くと「おぉっ。ショウ、いいアドバイスをありがとう。そっかぁ、お供え物が足りなかったんだな。」と美姫さんは言い、家の一番大きな掃き出し窓の所に家にあった果物やお菓子をお盆に乗せて置いた。

 

それから、毎日のようにお供え物をする美姫さん。でも、よく美姫さんのお供え物を見ていると美姫さんの好物ばかりが置いてあった。そして、美姫さんは一日経つとお供え物を入れ替えし、前にお供えしていた物をパクパク食べ始めた。

 

「美姫さん、それ自分が食べたいためにお供え物してるんでしょ。」と僕が言うと「ショウ、知らないの?。お供え物を下げたら、ちゃんと食べなきゃいけないんだよ。」と美姫さん。

 

「知ってるけど、美姫さんの好物ばっかりお供えしているよ。」と僕。「だってさ、ショウ、自分の嫌いなものを人にプレゼントする?。」と美姫さんが言う。「いや、自分も好きなものをプレゼントするよ。」と僕が言うと「ほら、でしょ。だから、お供え物も自分の好きなものなんだよ。」と美姫さん。

 

美姫さんの言っている事、絶対に屁理屈だと思うんだけど、なぜか納得してしまうんだよなぁ……と僕は腑に落ちないまま、美姫さんの行動をみていた。

 

それから、しばらくお供え物は続いた。

 

そして、ぱったりと止んだ。「美姫さん、天気をつかさどる事を辞めたの?」と僕が聞くと「なかなか天気が、つかさどれないから考えたんだけど、物でどうにかしてもらおうって考えが良くなかったんだと思う。相手は天気だからね。一筋縄ではいかないと思う。」と美姫さん。

 

天気がつかさどれるまで、進化し続けてね。美姫さん。 

 

おわり

 


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