fic-tion’s diary フィクションの創作日記

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短編小説:ありのママ【美姫さんvs麗ちゃんママ】

美姫さんvs麗ちゃんママ

麗ちゃんが、とてもうるさい。

クラスメートをそんなに言ったらいけないのは、分かっているけど、本当にうるさい。

 

原因は、ママカーストの事*1。麗ちゃんは小学5年生の途中に、僕のいる小学校に転入してきた。小学6年になるときにお母さんがPTA会長をやりたかったらしいが、僕が小学1年からPTA会長をしているおじいちゃんが、あと一年だし、仕事も慣れているからそのまま続投という形になった*2

 

ママカーストの頂点に立っているらしい麗ちゃんのお母さんには、6年間もPTA会長をしているのだから、どこぞやの名のある家庭だと勘違いしたらしい。

 

それで、麗ちゃんが僕にしつこくいろいろ聞いてくる。それに自分の家の自慢話もずっとしてるし。

 

「ショウくんのパパって何してるの?。」とか「ショウくんのママって働いてるの?。」とか……。もう、勘弁してほしい。だって、ママカーストなんて僕には本当にどうでもいい事だから。

 

美姫さんに麗ちゃんの事を話す。美姫さんの目の奥が光ったことを僕は見逃さなかった。僕は、シメシメと思う。

 

「ショウ、そういえば近々PTAがあったよねー。」と美姫さん。僕は、学校の行事予定を見て「あっ、来週あるよー。」と答えた。

 

お父さんが帰ってきて美姫さんが「こうちゃん、今度のPTAは、私が行くねー。」と言った。「えっ?。美姫さんが行くの?。ちゃんと先生の話、聞いてきてよね。」とおとうさん。

 

そして「前みたいに『PTAで先生は、なに話した?。』って聞いたら『日本語。』ってのは、無しだからね。」とお父さんは言った。「じゃぁ、先生の話は録音してくるよ。」と美姫さん。「じゃぁ、よろしくね。」とお父さんは言った。

 

PTA当日、僕は楽しみだった。美姫さんが、何をするのかワクワクしていた。

 

僕たちの授業が終わる頃、保護者がどんどん集まってきた。美姫さんもいる。他の親と同じように首からネームホルダーに書かれた【斉藤】を下げ、おすまししている様子の美姫さんは、何かとっても見知らぬ人に見えた。

その時、僕と目が合う。変顔をする美姫さん。“あっ、いつもの美姫さんだ”となぜかホッとする。

 

帰りの会も終わり、帰りの準備をしてしると、麗ちゃんのお母さんが美姫さんに近づいているのが見えた。僕はコッソリと会話の聞こえる所に移動する。

 

麗ちゃんのお母さんが「あら、はじめまして。麗の母です。」と自己紹介をする。「あら、こちらこそはじめまして、ショウの母です。」と言う美姫さん。

美姫さんが、お母さんみたいだ!と衝撃を受ける。

 

「今日は、お休みなんですか?。」と麗ちゃんのお母さん。「そうですね。今日は休みにしました。」と美姫さん。

 

その答えに麗ちゃんのお母さんは、美姫さんが外で働いてると勘違いしたらしく、「お仕事されてるんですね。」という麗ちゃんのお母さんに「ショウに自分の働いている姿を見てもらいたくって。」と美姫さん。

 

そうだね。美姫さんの働いてる姿なら、毎日ちゃんと見てるよ*3。 

「今日は、ご主人は?。いつも、ご主人が来られてたから……。」と麗ちゃんのお母さん。「主人ですか?。うちは、個々を大切にしてますんで、主人の仕事の事は何も分からないです。」と美姫さん。

 

麗ちゃんのお母さんの目がパチパチする。

 

絶対に勘違いしてるな…。美姫さんの言い方だと、2人ともバリバリ働いてるみたいだぞ!

でも、美姫さんは干渉しないってよりも気にしないから、事実は事実か。

 

「また、素敵なお召し物ですね。参考にしたいから、どちらのものか教えて下さらない?。」と麗ちゃんのお母さん。

 

「あっ、この服ですか?。これ、知り合いのスタイリストの一押しなんです。」と美姫さん。麗ちゃんのお母さんの顔がギョッとする。

 

あっ、今日の美姫さんの服、恵美子おばあちゃん*4からのプレゼントじゃん。

娘のいない恵美子おばあちゃん、美姫さんに似合いそうな服を買って送ってくれるもんねー。ある意味、スタイリストさんだもんね。

 

「今度のおやすみってどこか行かれます?。」と麗ちゃんのお母さん。「○○(避暑地)に家がありますから、そちらに行こうかなと。」と言うお母さん。麗ちゃんのお母さんの顔がこわばる。

 

それって恵美子おばあちゃんちじゃん。麗ちゃんのお母さん、絶対に別荘があるって思ってるよ。

 

「そうなんですね…。今日はお天気がいいから、いつもは、タクシーで学校まで来るんですけど、歩いて来ちゃいました。」と麗ちゃんのお母さんが、ニコッとしながら美姫さんに言うと、「うちは、送迎は、担当がいますから。」と微笑み返す美姫さん。

 

それ、おじいちゃんだよね*5

 

麗ちゃんのお母さんは、ギョッとした表情をして、美姫さんの元を去っていった。美姫さんが僕に気付いて、ニヤリと笑う。

 

あぁ、面白かった。

 

その後、麗ちゃんは学校で自分の家の自慢話をすることをやめた。

 

美姫さんは、ちゃんとPTAに行ったかって?。美姫さんは、麗ちゃんのお母さんと話をしたら、満足して僕と一緒に帰っちゃったんだ。

帰ってきてからお父さんとの約束を思い出したらしく、僕の担任が男の先生だったから、おじいちゃんに電話してPTA資料を読んでもらい、それを録音していた。

 

すぐにお父さんにバレたけどね!。

 

おわり