fic-tion’s diary フィクションの創作日記

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短編小説:ありのママ【康夫さんvsオレオレ詐欺】

康夫さんvsオレオレ詐欺

家に帰ると、美姫さんが浮かない表情をしていた。

「どうしたの?。」と僕が聞くと「結花から電話があって、康夫くんがどうしても私に指導して欲しい事があるって。」と美姫さんが言う。美姫さんの表情は明らかに“めんどくさい”と訴えている。

 

「なにするの?。」と僕が聞くと「オレオレ詐欺対策。」と美姫さん。

確かに美姫さんは、オレオレ詐欺対策については逸材かもね。「いいじゃん。面白そうじゃん。」と僕が言うと「ショウが楽しめるんだったら、頑張る。」と浮かない表情が軽くなる美姫さん。

 

お父さんが、仕事から帰ってきて、話をすると「大丈夫か?。」と言い、康夫さんに電話をかけていた。「康夫くん、主夫になって家にいることが増えたから、電話に出ることが多くなったそうだ。今までは、気にしなかった電話も気になるようになったらしくってな。いろいろな電話がかかってくるらしい。」とお父さん。

 

つぎの休みに僕とお父さんと美姫さんは、広瀬さん宅に行った。

「おう。ショウ、大きくなったな―。」と康夫さん。つい最近あったから、そんなに大きくはなってないと思うけど…と思いながら、「はぁ。」と僕は苦笑いする。

 

「ちゃんと、美姫が言っていた一粒5000円のイチゴ、買っといたからね。」と広瀬さん。美姫さんがニヤリと笑う。

 

美姫さん、ちゃっかりしているなー。でも、どんだけ高い授業料なんだろう。

 

そして、美姫さんのオレオレ詐欺対策の授業がはじまった。

 

「いいですか。自分で思う一番渋い顔をしてください。」と美姫さん。

康夫さんは、少し驚いた表情をしたが、すぐに渋い顔を作った。

「もっとですねー。いいですか。私が見本をみせます。」と美姫さんはいい、目を薄目に開き、眉間にしわを少しよせた。

康夫さんが、真似をする。そして、美姫さんは「この顔でですね、『自分、不器用ですから』とこれまた渋い声でさらっといいます。」と言った。

 

あっ、この前テレビでみた。高倉健さんだ。

 

康夫さんが「自分、不器用ですから。」と言った。「もっと、声のトーンを落として。」と美姫さん。「自分、不器用ですから。」と声のトーンを落とした康夫さんが言う。「ちょっと、力がはいってるかな。力を抜いて自然体で。」と美姫さん。

「自分、不器用ですから」と康夫さん。

 

テレビで見た高倉健さんに似てきた。

 

「まぁ、こんなものかな?。いい、オレオレ詐欺の電話が掛かってきたら『自分、不器用ですから』しか言わないんだよ!。」と美姫さん。

「はい。」康夫さんは、渋い顔のまま美姫さんに返事をした。

「これ、新作のオレオレ詐欺対策だからね。じゃぁ、このオレオレ詐欺対策は、康夫くん特許にしてあげます。」と美姫さん。

 

“いらない。そんなの”と僕は切に思う。

 

そして美姫さんは「イチゴ♪。イチゴ♪。」と言いながら、イチゴを食べる。

お父さんと僕もごちそうになる。広瀬さんと談笑しながらイチゴをたべる。

部屋の片隅では康夫さんが一人ブツブツと「自分、不器用ですから。」と言っていた。

 

その時、広瀬さん宅の家の電話が鳴る。

広瀬さんが立ち上がり電話の元に行き、かかってきた電話番号を確認する。

 

「あっ。まただ。ここの勧誘うるさいんだよねー。」と広瀬さんが言う。

すると美姫さんが立ち上がり、「試していい?。」と言う。広瀬さんがうなづくと美姫さんは電話に出た。

 

相手が何か言っているようだ。美姫さんはひととおり聞いた後、「自分、不器用ですから。」と電話の相手に言った。電話は、切れた。

 

「おおっ。さすが美姫さん。」と拍手をしている康夫さん。とても感動しているようだ。「師匠に相談してよかった。」とその後もしきりに康夫さんは言っていた。

 

美姫さんと僕とお父さんは、美味しいイチゴを食べさせてもらって満足して家に帰る。

 

その後、康夫さんは電話に出て、「自分、不器用ですから。」を試そうとするも、なかなか電話口では言えないようだった。

 

広瀬さんの話じゃ「修行が足りない」と康夫さんは、毎日毎日練習しているらしい。広瀬さんが、康夫さんの姿を動画で送ってくれたが、ものすごく上手になっていた。

 

康夫さん、それができるのは美姫さんと恵美子おばあちゃんだけだと思うよ。*1*2

 

おわり

 

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