短編小説 ありのママ

12月25日

第157話 斉藤家のクリスマス劇場

今年もこの日がやってきた。

小学6年にもなるとサンタさんは誰なのか、周りの友達もわかってくる。

僕はって?

サンタの正体はわかっている。

でも、家では禁句なんだ。

12月に入ると美姫さんが「ショウ。サンタさんにお手紙書かないとね。」と必ず言ってくる。

そう、美姫さんがどうやらサンタをまだ信じているらしいんだ。

僕はサンタさんに手紙を書く。

美姫さんも手紙を書き、その手紙はお父さんに渡す。

お父さんもお父さんで「今年もサンタの手紙預かったからね。ちゃんとサンタに渡しとくから。」と言う。

「こうちゃん、ちゃんとサンタに渡しといてよ。」と美姫さんが言う。

僕に見せている小芝居のようだが、美姫さんもお父さんもいたって真面目だ。

僕んちのプレゼントは25日に朝起きると届いているシステムだ。

24日の日は、美姫さんは20時にはベッドにはいる。昨日なんか、19時過ぎには寝てたし。

いつサンタさんが来てもいいように準備万端だ。

クラスには12月初めにプレゼントは貰ったって子も出てくる。早く貰っている子はちょっとうらやましかったりもする。ゲームのカセットだったら発売日に欲しいもんね。

25日の朝は、美姫さんは早起きだ。

まだ夜も明けない4時ぐらいに僕の部屋までやってきて僕にもプレゼントが届いているか、確認しにくる。そして、まだ眠い僕を起こす。

そう、それが今日。今日は時計を見たら3時半過ぎだった。

美姫さんは、お父さんのプレゼントもチェックしてきたらしいが、今年も無かったみたい。昔はお父さんもプレゼントが来てたけど、ここ最近はない。

僕が想像するからに自分で自分のプレゼントを買って枕元に置いとくのが馬鹿らしくなってきたんだろう。

そしてまだ眠い僕と目がランランの美姫さんのプレゼントの見せ合いっこが始まる。お父さんも毎年参加している。

小さい頃は楽しかったけど、今はこれ、ものすごく茶番劇に見えるのは僕だけなのかな?もう少し寝かしてくれよって思う。

「お~。ショウ、今年も欲しいものがちゃんときたね。良かったね。」と美姫さんは言う。「ショウ、良かったな~」とお父さん。そして美姫さんは自分のプレゼントを開け「やったー!コレ、欲しかったんだよね」と喜ぶ。

そりゃそうだろう。欲しいものを頼んでるんだから。

そして最後に決まってプレゼントのないお父さんに「こうちゃんは、今年もいい子じゃなかったんだね。」と勝ち誇ったように言う。

僕から見たら美姫さんの方が良い子じゃないと思うけど。

ここの茶番劇は苦笑いしかできない。

まぁ、夢は壊したらいけないって言うから、クリスマスぐらい付き合ってあげようかなとは思うんだけど。

それにしても、このクリスマス劇場はいつまで続くんだろう。

そういえば、プレゼントの見せ合いっこの前(朝方の4時前)にお兄ちゃんちに美姫さんがプレゼントの確認をしにいったらしいけど、玄関ドアに【サンタさんへプレゼントはいりません。他の子にあげてください】って書いた紙が貼りつけてあったんだって。

ただね、クリスマスは美姫さんはプレゼントにしか興味がないんだけどね~。

おしまい

※この短編小説ありのママは、ほぼフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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