短編小説 ありのママ

蛙の子は蛙。

第149話 美姫さんvs僕

学校の宿題をしているときに分からない問題が出てきた。

「美姫さん。これ教えて。」と僕がソファーにダラッとしている美姫さんに言う。

「どんな問題?」と美姫さん。

僕はソファーに問題集を持っていき、美姫さんに見せる。

「……あぁ、算数ね。……ショウ。私これ習ってない。」と美姫さん。

へっ?美姫さん、小学校卒業したよね。

「習ってないんじゃなくて覚えてないんじゃないの?」と僕は美姫さんにわざと嫌味を言う。

「いや、見たこと無いもん。多分、敵国の問題だと思う。」と美姫さん。

「敵国って何?」と僕が聞くと

「敵の国だよ。」と美姫さん。

「そんなの分かるよ。なんで算数が敵国の問題なの?って聞いてるの。」と僕。

「戦時中は、敵国の事は学ばないんだよ。知ってるとスパイ扱いされるんだよ。」と美姫さん。

はぁ?

「美姫さんって、戦時中生まれなの?」と僕が聞くと

「そう。戦時中だよ。」と美姫さんはニッコリ。

「美姫さん、第二次世界大戦中に生きてたの?」と僕が呆れ気味に言うと

「まっさか~。私が生きているのは、どこかイランとかイラクとかの戦争中かな?それともベトナムの戦争中かな?ほら、世界は戦争が途切れなく起こっているでしょ。」と美姫さん。

「それ、関係ないじゃん。」と僕が言うと。

「ショウ。この世界中の出来事に関係ない事があるわけがないじゃん。ちゃんと自分の問題として考えないといけないんだよ。」と美姫さんは言った。

「考えなきゃいけないんだったら、勉強は必要だよね。敵の国を知る事も大事じゃないの?」と僕が言うと

「あーいえばこういう。」と美姫さんがボソッと言った。

そりゃ、美姫さんの子ですからね。

おしまい

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