短編小説:ありのママ【美姫さんvs高齢者ドライバー】

美姫さんvs高齢者ドライバー

お父さんが仕事から帰ってくるなり「美姫さん、高齢者に車の運転を辞めさせる方法って思いつく?」と美姫さんに聞く。「それなら、試したいのがある!」と美姫さんがニッコリ笑う。

 


試したいって何だ?。美姫さんが、ニッコリ笑う時は要注意だぞ。

 


お父さんが、美姫さんの試したい方法をメモしながら、美姫さんに聞いている。

すごく楽しそうな美姫さんの表情に、真剣な表情のお父さん。

 

 

 

それからしばらくが過ぎ、お父さんが一枚のDVDを持って帰ってきた。

「何のDVD?」と、僕が聞くと「ショウも一緒に見るか?。美姫さんのお手柄が映ってるぞ。」とお父さんが言った。

 

 

 

夕食を食べお風呂に入り、DVDを見る準備万端だ。

「では、これから『ありがとう、美姫さん』をはじめます」とお父さんが言う。

「よっ。待ってました。私!」と美姫さんが合いの手を入れる。僕は、とりあえず拍手してみる。

 


再生が始まり画面いっぱいに『ありがとう。美姫さん』と書かれた文字が出てくる。

そして、一台の車が映る。その車に乗り込む1人の高齢の男の人。

 

そこで、映像が車内映像に切り替わる。さっきの男の人がシートベルトを付け、そして…。

 

「ハンドルが無い!」と叫んだ。よく見ると、あるべき所にあるものがない。

「ハンドルー!!」と叫ぶ男性。その車にはハンドルが付いてなかった。

 

「アハハハハハー」と、その映像を見て笑い出す美姫さん。

僕は映像内の男の人と、笑い転げている美姫さんを交互にみる。

 

ー美姫さんの仕業だー。

 

「ハンドルが、無い!」と男の人は言い、自分の足元を見てから助手席を見た。そこには、封筒が一通置いてある。男の人はその手紙を取る。

「報告書」と、その封筒に書いてある。男の人は、首を傾げながら封筒を開けて手紙を取り出す。

 

「何だこれは。」と少々怒り口調の男の人。無言のまま、手紙を読んでる。手紙の2枚目に入ると男の人の顔が、驚いた表情になり「いつき…。」と男の人は言い、何か遠くを見始めた。そして、「よし。」と深くうなづきながら言うと車から降りていった。

 

エンディングテーマが流れる。

そして、最後に男の人が読んでいた手紙が映し出された。

 

キミのくるまのハンドルはあずかった。

かえしはしない。

だって、じこにもあってほしくないし、ぼくのともだちのいのちをうばってほしくもない。

だから、ぜったいにハンドルはかえさない。

 

怪盗   いつき

 

 

とパソコンで書かれていた。

僕がお父さんの方を見ると「いつきってのは、この人のお孫さんの名前だよ。まだ、2歳かな?。この人が物凄い可愛がっているんだよ。」とお父さんが言う。そして、このDVDに映されている事の説明をしてくれた。

 

映像に映っている男の人は、お父さんの会社の人の父親。そろそろ車の運転を辞めてほしくて、直接的に話をしても、「まだ大丈夫」の一点張りで全然、車の運転を辞めてくれない。

 

そこで、お父さんに相談したわけだ。

美姫さんの考えた作戦は、【車のハンドルを取る】という事。こうすれば、運転ができないだろうと。

 

そして、男の人が1番可愛がっている孫の“いつき”くんが、取った事にしてお手紙を書けば、効果が出るんじゃないかと計画し、実行したわけだ。

 

この映像の後、男の人は車の運転を辞め、お父さんの会社の人はとても喜んでいたそうだ。

ただ、美姫さんだけが「【ドッキリ大成功】の看板が最後に出てこなかった!」と不満気。

 

美姫さんは、ドッキリビデオを撮るつもりだったの?。

 

おわり

 

 

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