短編小説 ありのママ

美姫さんの非常食のありかた

第66話 美姫さんvs非常食

「ショウ。もしかして、非常食を食べた ?」とお父さんが僕に聞く。

「いいや。食べてないよ」と僕。

「やっぱりな……。美姫さん、非常食をまた食べきったな〜。食べきったら、非常の時にどうするの?これは、非常の時にしか食べちゃダメなんだよ」と非常時の荷物のチェックをしながらお父さんが言う。

「ちゃんと、非常の時に食べてるよ。」と美姫さんが言うと「非常時って、最近あったっけ?」とお父さん。 「えーっ。私はちょこちょこあるよ。」と美姫さん。

「えっ?」とお父さんが怪訝そうな顔をする。そして恐る恐る「美姫さんの非常時っていつ?」とお父さんが美姫さんに聞く。

「そんなの、お腹がすいた時だよ。食べ物なのに頭が痛いときには食べないでしょ。」と少し怒り気味の美姫さん。

「はぁ?」と納得のいかないお父さん。「お菓子とか食料とかちゃんと買ってきてあるでしょ。コンビニなんて家から10分もしない所にあるじゃないか。」とお父さんが言うと

「家にあるお菓子とか食料の気分じゃない時もあるし。だいたいこうちゃんは、女の人が家から外に出る時にどんだけ大変か分かってない!」と怒る美姫さん。

「えっ?」とお父さんが聞き返すと「男の人は、そのままフーラフラって外に出れるかもしれないけど、女の人はね、まずお顔を作らなきゃいけないんだよ。」と美姫さん。

「はぁ…。」とお父さんが言うと「メイクってのはね、ナチュラルに仕上げようとすればするほど時間がかかるものなの。コンビニに、けばけばしいメイクじゃいけないでしょ。」と美姫さん。

「はぁ。」美姫さんの勢いにおされるお父さん。

「もし、おなかがすいてコンビニ行きたいって出掛けるだけで、2時間以上は準備にかかるの。それって非常事態じゃない?」 と美姫さんは言う。

「こうちゃんが思う非常時と私が思う非常時は、違うんだよ。」と美姫さんは言った。

美姫さんの勢いにおされて「わかったよ。じゃぁ、食べきる前に教えてね。」とお父さん。

美姫さんがニッコリする。

僕は、知っている。美姫さんがここ何年も化粧をしていないことを…。出掛ける時だって「眉だけ書けばいいや~」といいながら、眉しか書いてないことを……。

美姫さん、外に出るのが面倒なだけだよねー!

おわり

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