第68話 美姫さんの病院選び
朝起きると、頭がボーっとする。
喉もイガイガする。
「おはよう。」とリビングに行くと、お父さんが僕の顔をみるなり「おはよう、ショウ。顔が赤いけど熱があるんじゃないのか?」と言った。「わからないけど、喉がイガイガする。」と僕が言うと美姫さんが「おはよう、ショウ。はい、体温計。」と言い、体温計を持ってきてくれた。
美姫さんもお父さんも心配そうな顔をして僕をみている。
リビングのソファーに寝ころびながら、熱を計っているとお父さんが薄手の毛布を一枚もってきてくれた。「寒くないか?」とお父さんが聞く。僕はお父さんが持ってきてくれた薄手の毛布をかぶり首を横にふる。
ピピピピピー。体温計が鳴る。
脇から体温計を出して見てみると熱があった。
「38.0℃だったよ。」と僕が言うと、「そうか。今日は学校お休みだな。朝ごはんは食べれそう?。」とお父さんが言う。僕は、首を縦にふる。お腹はすいている。
僕は、お父さんが作ってくれた朝ごはんを食べる。「無理して食べなくていいからな。食べれるだけでいいぞ。あっ、リンゴ食べるか?」とお父さんが言う。僕は首を横にふる。
「美姫さん。病院、よろしくな。」とお父さんが言う。「オッケー。いつものじいちゃん先生のところに行ってくるよ。」と美姫さんは言うと「あーっ。今日休診日じゃなかったっけ。」と言い、ネットで僕のかかりつけの病院のホームページを見る。
「あーっ。やすみじゃん。」と美姫さんは言った。
そして、ネットで病院を探し始めた。
僕は、いつもより食べれなかった朝ごはんを済ませてまたソファーに横になる。
「お布団、ここに敷こうか?」と美姫さんが言う。「このままで、大丈夫。」と僕が言う。
美姫さんは、近所の病院を探している。美姫さんの病院選びは独特だ。
ネットで僕の家から近い病院を何件もピックアップする。その病院のくちコミサイトなど決してみない。その病院のホームページに載っている先生の顔写真を見て病院を決める。
「なんで、顔で選ぶの?」と僕は聞いてみた事がある。
「なんかね、顔を見てると“この人は大丈夫”とか“この人はダメ”とか思い浮かんでくるんだ。」と美姫さん。
これが、面白いぐらいいい病院を引き当ててくれる。
ぼくは、小さい頃からじいちゃん先生の所にかかりつけなのだが、その病院を見つけたのも美姫さん。ぼくの家の近所では、あまり新しいとはいえない病院。小さい頃は、近所にその病院しか無くて、患者さんも多かったのだが、すぐ近くに新しい病院が出来てほとんどの人がそこに行くようになった。
ネットでのクチコミは素晴らしくよかったのだが、一時するとじいちゃん先生の病院に戻ってくる人がいた。
「よし。ここで決まり。」と美姫さんは言い、住所を紙にかいていた。
「美姫さん。よろしくねー。ショウもゆっくりね。美姫さん、ちょこちょこ連絡ちょうだいね。」とお父さんは仕事に行った。
「ねぇ、病院の帰りに何食べる?。病院が開くまでに、何かビデオ見ようか?。あっ、お菓子食べる?」とちょっぴり楽しそうな美姫さん。
美姫さん。僕、病気だからねー。
おわり