短編小説:ありのママ【美姫さんの欲しいもの】

美姫さんの欲しいもの

「美姫さん!僕のパンツストックからパンツを使わないでよー。ストックしてたパンツがないじゃないかー。」と棚を整理してたお父さんが言う。「だって、こうちゃんのパンツ履きやすいんだもん。」と美姫さん。

 

「まぁ、いいけどさ。美姫さん、道端で倒れて救急車で運ばれたら、“あっ、この人男の人のパンツはいてるー”って言われるかもしれないよ」とお父さんが言うと

 

「パンツぐらい自由に履かせて!」と美姫さん。

 

パンツ以外も充分に自由だと思いますが…。


美姫さんは、本当に物を買わない。洋服も恵美子おばあちゃん*1が送ってくれるものしか着ない。靴は毎年、サンタクロースに買ってもらっている。*2

「美姫さん、何で物を買わないの?」と僕が聞くと「あんまり欲しくないからね。」と美姫さん。

 

「もしかして。買いに行くのが面倒なの?」と僕が言うと「そうとも言う〜。」と美姫さんがニンマリする。

 

「美姫さん、欲しいものないの?」と僕が聞くと「欲しいものはあるよー。」と美姫さん。

 

美姫さんにも欲しいものがあるんだ…とちょっと驚く。でも、毎年クリスマスプレゼントは靴なのに。

 

「何で、サンタクロースに頼まないの?。」と僕が言うと「良子さん*3が、サンタクロースに頼むものは、自分が手に取れる物しかダメだって」と美姫さん。

 

「じゃぁ、この前言っていた馬?」と僕が聞くと「馬は、自分で買わないといけないから、馬じゃないよ。」と美姫さん。*4

 

実はもうすぐ美姫さんの誕生日だ。

 

その夜、お父さんにコッソリと「美姫さん、欲しいものがあるみたいだよ。お父さんには、遠慮してるのかな?」と話す。しばらくお父さんが考えて「ショウ、その欲しいものを美姫さんに聞いたか?。」とお父さんは言った。

 

「いいや。まだ、聞いてないよ。」と僕が言うと、お父さんがニヤリと笑い「美姫さんに聞いてごらん。」と一言言った。

 

次の日、美姫さんに欲しいものを聞く。


「美姫さんの欲しいものって何?」と僕が聞くと「ショウ、探してくれるの?」と美姫さん。「うん。僕も一緒に探してあげるよー」と僕が言うと美姫さんの目つきが変わる。「いいの?ショウ。ありがとう。」と美姫さんは嬉しそうに言う。

 

美姫さんの誕生日までに探してみないとなー。と僕は少しワクワクする。

 

「で、何が欲しいの?」と僕が聞くと「今のところ、打ち出の小槌と、ドラえもんのひみつ道具全部と、魔法が使える力かな?」と美姫さん。

 

美姫さん、それ多分一生買えないよ。

 

おわり