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短編小説:ありのママ【美姫さんvs海】

美姫さんvs海

「海に行きたいなー」と僕。もう夏だ。夏といったら、海。

「海?」と美姫さんが聞き返す。「そう、海。」と僕が言うと

 

「ショウ。海はね、広くて大きいんだよ。」と美姫さん。「そうだよね」と僕。

「月がのぼるし、日はしずむんだよ。」と美姫さん。「テレビで見たことがあるよ。」
と僕が言うと今度は「海にお船をうかべたら、よその国に行けるんだよ。」と美姫さん

 

ん?。どこかで聞いた事のあるフレーズ。

♪海は広いな~大きいな~♪月は上るし~日は沈む♪*1


「それ、歌じゃん。海のうた。ぼくは海に行きたいの!!。」とぼくが言うと

 


「うみはね、名もしらない遠くから、やしの実が流れてきてね。」と美姫さん。

「えっ?やしの実が流れてくるの?」と僕が聞くと「ふるさとの岸をはなれてね。」と美姫さん。

 
「えっ?意味がわかんない。」と僕がいうと「何か月の間、ながされてきたんだろうね。」と美姫さん。

 

名も知らない遠くの島から、流れてくるヤシの実。ふるさとの岸をはなれて……。

♪名もしらーぬ 遠き島より♪ ♪な~がれよるヤシの実ひとつ♪*2


「美姫さん。それも歌!!。」とぼくがいうと「さっすが、ショウ、すごいねー。」と美姫さん。

 


「ぼくは、海にいきたいの!!。」とぼくはいう。

「♪我は海の子〜しらなみの♪」と美姫さんは、ついに歌いだした。*3

 


美姫さんに言っても、らちがあかないので、お父さんが仕事から帰ってきてから、お父
さんに話す。

 

「お父さん、僕ね、海に行きたいのに美姫さんに『海に行きたい』って言うと、海の歌ばっかり歌うんだよ。」と僕が言うと「あっ、美姫さん。海は色が黒くなるから行きたくないんだよ。」と笑いながらお父さんが言う。

 

「あぁ、なるほど。」と納得し、僕も笑う。実は美姫さん、地黒なのだ。冬から夏になり、長袖から半袖になると会う人会う人に「海に遊びに行ってきたの?」と聞かれている。

 

「美姫さん。色が黒くなるから海に行きたくないの?」と僕が聞くと「あっ、バレた?!。こっちは色白になりたくて、外に出る時も長袖着たり日傘さしたりしているのに、それにさ、ほとんど外にはでてないのにも関わらず、海に遊びに行った?とか、サーファーには間違えられるし……。だいたいさ、人は進化して陸に上がったのになぜ海に戻らなきゃいけないの?」と美姫さん。

 

「色黒だと、健康的でいいじゃん。」と僕が言うと「健康的もいいけど、色白は七難隠すっていうじゃない。色白ってだけで、七つも難がかくれるんだよ。」と美姫さん。

 

美姫さんは、色白になったら難が隠れるかな?

 

おわり

 

*1:海 作詞:林柳波 作曲:井上武士

*2:椰子の実 作詞:島崎藤村 曲:大中寅二

*3:われは海の子 作
詞:宮原晃一郎 作曲:文部省唱歌