fic-tion’s diary フィクションの創作日記

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短編小説:ありのママ【美姫さんvs空き巣】

美姫さんvs空き巣

「近所に空巣が入ったって。」とお父さんがいう。「えっ。怖いね。」と僕が言うと
「そうだろう。美姫さん、日中ずっと家にいるから特に怖いよな。」とお父さん。

 

「それって、鉢合わせたら、ものすごくやばいんじゃないの?」と僕が言うと「そうなんだよ。美姫さん、よく居留守を使うだろう? 空き巣の犯人は家に誰もいないと思って、家に入ってくる可能性がとても高い。だから美姫さんが、鉢合わせる可能性も高い。」とお父さん。

 

僕は怖くなる。

 

すると「あっ。大丈夫。」と平気な顔の美姫さん。「えっ。何で?」と僕が聞くと、
「いつも一応はインターフォンが鳴った時に確認して、変な人には返事しているから。ちゃんと家にいますよーってアピールしているよ。」と美姫さん。

 

「でも、女の人だと分かると危なくない?」と僕がいうと「それがね、とっておきの物があるんだよ。」と美姫さんは言い、ICレコーダーの音源を僕に聞かせてくれた。

 

そこに録音されてたのは、ものすごく渋いおじさんがどこかの国の言葉で話してる声。

 

「だれこの人?」と僕が聞くと「さぁ?知らない。ネットで流れてた良い声の人。」と美姫さん。「どこの国の言葉?」と僕。「さぁ。英語でも中国語でも韓国語でもないんだよね。聞いたことがない言語。」と美姫さん。

 

「何て言ってるかはわかるの?」と僕が聞くと「“坂道を下るとそこは海でした”だって。イントネーションがいいなぁって。」と美姫さん。

 

人が訪ねてきてなぜ道順の話?それに僕んちは坂の上にも近くに海もないんだけど。

 

「そんなので、空き巣は来なくなるの?」と僕。
「大概、この音声を流したら、ギョッとしていなくなるよ。」と美姫さん。


「そう、そう、こうちゃん、その近所の空き巣って昨日の話じゃない?」と美姫さんが聞く「そうだよ、昨日の話だけど」とお父さん。

 

「たぶん犯人わかるよ。」と美姫さんはいい、インターフォンの履歴をチェックし始めた。履歴なんてみたことがないけど、思いのほかいろんな人が、たずねてきていた。
そして、美姫さんが応対している様子もなかった。

 


「あっ、この人。」と美姫さんが、ひとりのおじさんを指差した。スーツをきたサラリーマン風のキチンとした男の人だった。「何かの営業の人じゃないのか?」とお父さんがきくと「絶対違う。」と断言する美姫さん。

 

「何が違うの?また、感?」と僕が言うと「感よりも脇が甘過ぎてバレバレ。この人は、空き巣を始めたばっかりの人だね。だって、ほら指紋を隠すためなのか手袋してるし、営業マンぽくネームホルダーしてるけど、手に何も持ってない。あと、靴が運動靴。まだまだだね。」と美姫さん。

 

僕とお父さんは、美姫さんを驚きの目で見る。

この人が空き巣かはわからないけど、美姫さんの説明に納得してしまう。

 

お父さんが警察に行き、美姫さんが言ったとおり説明して、インターフォンの画像を見せた。お父さんいわく、警察の人がとても感心していたそうだ。

 

しばらくして、インターフォンに映ってた男の人が住居侵入と窃盗で捕まった。

 

美姫さん……こわいんですけど。

 

おわり