fic-tion’s diary フィクションの創作日記

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短編小説:ありのママ【僕の初めての家族会議】

僕の初めての家族会議

「美姫さん、何にもしてしないけど、もしお父さんがいなくなったらどうするの?」と僕。「あっ。」と驚いている美姫さん。「ショウ。どうしよう。」と美姫さんが不安そうな顔をする。

 

えっ?想定外はあんなに考えてたのに……。*1

 

「ショウ。これは家族会議だね。」と美姫さん。「まぁ、考えていないならちゃんと備えを考えた方がいいもんね。」と僕。僕は、家族会議は初めてだ。少し楽しみでもあった。

 

それから数日して家族会議の日がきた。

三人で円状に座る。美姫さんが真ん中にICレコーダーを置く。

 

「それなに?」と僕が聞くと「書記の代わりだよ。3人じゃ、書記の人を作ると議論が出来ないからね。」と美姫さん。

 

「では、第……何回だっけ。こうちゃん、家族会議何回目?」と美姫さんが聞く。お父さんが首を傾げ「さぁ?」と言う。

 

たしか、家族会議の最後は僕が小さい頃だったはずだ。「まぁ、いいっか。では、第改めまして今年度最初の家族会議を始めます。」と美姫さんが仕切り直した。

 

そして「今回の議題を考えてくれた。斉藤ショウくんにまずは、拍手を。」と美姫さんは言い、お父さんと美姫さんが僕に拍手をする。「ありがとうございました。では、斉藤ショウくん、今回の議題をあげた理由について述べてください。」と美姫さん。

 

学級会みたいで楽しい。

 

「あっ。はい。えっと今回、この議題をあげた理由として、いつも美姫さんが何もしないので、お父さんがもしいなくなった時に美姫さんはどうするのだろうとおもいまして。」と僕が言う。美姫さんもお父さんも僕の方をじっと見て頷いている。ちょっと恥ずかしい。

 

すると美姫さんが何か配りだした。「では、議論の前にお手元の資料をご覧ください。」と美姫さん。

 

美姫さんが配ったのは、キャンピングカーとお葬式のプランのカタログだった。

 

「私なりにですね。“こうちゃんがいなくなる”と言う事を考えた時に、3つの場合を想定しました。ひとつ目は、“死ぬ”。ふたつ目は“失踪する”。3つめは“他の誰かのとこに行く”です。それでですね。3つの目の“他人のとこに行く”は、対処のしようがないので、あと2つの事を議論しようと、資料を用意しました」と美姫さんは言った。

 

“死ぬ”対してお葬式はわかるけど。何故、キャンピングカー?

 

 

「おおっ。用意がいいな~。」とお父さん。お父さんは、まずお葬式のカタログを開いて中をみる。

そして「あれ?。〇がついている所があるぞ?」とお父さんが言う。「あっ、それ私の分。」と美姫さんが言う。それからお父さんと美姫さんは、ワイワイと楽しそうにお葬式のカタログに〇をつけていた。

 

「ショウはどう思う?」と美姫さんとお父さんが僕を見る。

 

そういう事じゃないんだけど……と思いながら、僕はカタログを見る。いろいろな種類があってビックリする。

 

「ふたりが好きなので、いいんじゃないかな?」と僕。

 

「それでは、お葬式は決まりました〜。この後、こうちゃんは冷凍庫に入ります。あっ、冷凍庫のカタログ忘れてた。まぁいいか~。」と美姫さん。

 

そこは、変わらないんだ~と少しおかしくなる。*2

 

「みなさん、ご協力ありがとうございました。次は、こうちゃんが失踪した時に探しに行くキャンピングカーを選びたいと思います。」と美姫さん。

 

キャンピングカーって、そういう事か。

 

すると「はい。」とお父さんが手を挙げた。「はい、こうちゃん。」と美姫さんがお父さんを指名する。

 

「この場合、美姫さんが失踪した時も当てはまるのではないでしょうか?」とお父さん。

 

確かにそうだ。僕はうなづく。

 

「ショウもうなづいている様なので、私の失踪時の適応も認めます」と美姫さん。

 

3人でキャンピングカーのカタログを見る。こちらもいろいろな種類がある。当たり前だけど、こっちは楽しい。ただ、よく考えるとお父さんか美姫さんが、失踪した時に使うものと考えると複雑だ。

 

3人で、ワイワイいいながら、キャンピングカーを選んだ。何故かとても満足した気分になった。

 

「では、これで“こうちゃんがいなくなったらどうするか”の家族会議を終わります」と美姫さんが言った。

 

「あの。そういう事じゃなくて、もしもの時に美姫さん1人で生活できるの?」と僕が言うと「あっ。それ?大丈夫。良い老人ホーム見つけてるんだ〜。何と、3食昼寝付き。今と変わらない!」と満面の笑みの美姫さん。

 

何か違うんだけど……。まぁ、ひとりで生きていけるならいいや。

 

おわり