第211話 お兄ちゃんvs病気
朝からお兄ちゃんの様子がおかしい。
僕たちの様子を伺いながら、コソコソ動いている。
ただ、ガッツリとリビングには居る。
ただ、喋りもしないし、動きもしない。動くときは、僕たちの様子を見ながらコソコソ動く。
「お兄ちゃん、どうしたの?」僕は思いきって聞いてみた。
「……気配を消してるんだよ。」お兄ちゃんは、小声で僕に言った。
なんで、気配を消すんだろう?僕は「何で気配を消すの?」と聞いてみた。
「朝から、喉がイガイガしてな。風邪かもしれないから。気配を消しているんだ。」とお兄ちゃん。
???意味不明
「なんで、風邪だと気配を消すの?」と僕が聞くと
「ほら、『病は気(け)から』って言うじゃないか。気配を消せば、風邪も治る。兄ちゃんな、病院が嫌いなんだよ。」とお兄ちゃんは言った。
「お兄ちゃん、それ『病は気(き)から』だよ。病気は気の持ちようによって良くも悪くもなるという意味だよ。」と僕が言うと
「そうか。さすが、現役の学生さんは違うなぁ〜。」とお兄ちゃんは感心し、「ショウありがとな。よし、喉のイガイガなんかどこかに行ったと思うぞ〜。」とお兄ちゃんはいつものお兄ちゃんに戻った。
プププ面白いなぁと僕は美姫さんにお兄ちゃんの話をする。
「ユウ。めっちゃ、ウケる。」と美姫さんは大笑いした。
そして「そういえば、ユウさ。中学ぐらいの時も『歯の詰め物が取れた』って接着剤で付けようとして、こうちゃんに怒られてたよね〜。」と美姫さんは笑いながら教えてくれた。
すると「母さん。それ、母さんの話。僕、歯に詰め物ないし。」とお兄ちゃんが冷静に返した。
どっちもどっち。
おしまい
※この話は、ほぼフィクションです。