短編小説 ありのママ

ケーキの分け方

第191話 美姫さんvsケーキ

「こうちゃん、今日はあり3号の誕生日だよ。ケーキは、8号(直径24㎝)でいいからね~。」と美姫さん。

この会話の意味はというと、あり3号というのは家の庭にいるありの一匹の事。美姫さんは都合のいいときだけ家族あつかいし、ケーキの食べたいときに誕生日がきたという事にしている。誰の誕生日かは、その都度変わる。

「イチゴのケーキでいいのか?」とお父さん。

「チョコケーキがいいなぁ~。あり3号はチョコが好きだから。」と美姫さん。

あくまでも、あり3号の誕生日ケーキであって、美姫さんが食べたいわけではない事を強調する。
まぁ、僕もケーキが食べれるからいいんだけど。

お父さんがケーキを買ってきて誕生会が始まる。と言ってもケーキだけなんだけどね。

ロウソクを1本立てて(美姫さんいわく、今回はあり3号の1歳の誕生日)、みんなでハッピーバースデーを歌い、美姫さんが変わりにロウソクの火を消す。

そして、ケーキを分ける。

美姫さんがひと言「こうちゃんは、最近太ったんじゃない?ケーキは食べない方がいいと思うよ。」

僕は、プププと笑いそうになる。どの口が言うんだ。
でも、美姫さんがこれを言うのにも理由がある。というのも、ぼくんちのケーキの切り方が関係する。

もし、ひとりで食べるのであれば、ホールケーキ1つ丸々食べてもいい。
2人で分けるのであれば、ホールケーキは2等分。
3人で分けるのであれば、ホールケーキは3等分。
人数が増えれば増えるほど、ケーキが小さくなるのだ。
学校で「昨日のケーキが残ってる~。」と同級生が言った時はビックリした。
ぼくんちは、その場で無くなる。

「今日買ってきたケーキ、美味しそうだからなぁ。食べるよ。」とお父さんは言い、ケーキは4等分された。

そこには、心底悔しそうな美姫さんの顔があった。

おしまい

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