短編小説 ありのママ

こんな願望ありませんか。

第219話 美姫さんvsクローン人間

珍しく夕食後、ゴロゴロせずに美姫さんが、インターネットで調べ物をしていた。

「何しているの?」と僕が聞くと

「クローン人間ってさ、どこで手に入れられるんだろうって思って。」と美姫さん。

……そもそもクローン人間って作ったらいけないんじゃなかったかな……そんな『犯罪してますよ~』って行為をインターネットで公開している人がいるのかな……

「美姫さんは、何でクローン人間がほしいの?。」僕は聞いてみた。

「もうさ、疲れたのよ。」と大きくため息をつく美姫さん。

はぁ??寝て起きて食べるしかしない美姫さんのどこが疲れるんだろう。

「何か、忙しい事でもあるの?」とりあえず僕は聞いてみる。もしかしたら、僕のいない日中には忙しくしているのかもしれない。

と、そこにお兄ちゃん「母さんが、忙しいわけあるわけないじゃないか。」と笑いながら言う。

美姫さんがお兄ちゃんをギロリと睨み、べ~っと舌を出し、反論をはじめた。

「いや、忙しいよ。まず、朝起きないといけないでしょ。そして、ご飯もおやつも食べないといけない。トイレにも行かないといけないし。毎日毎日、忙しい。」と美姫さん。

……そうだね。めちゃくちゃ忙しいね……それが『忙しい』なら、世の中の人みんな激務だね。

「でも、その忙しいのとクローン人間とどう関係するわけ?」と僕が聞くと

「クローンの方に忙しい方はやってもらおうと思ってね。そしたら、私は一日中寝れる。」と美姫さんは、ニンマリとした。

クローン人間がご飯を食べたりトイレに行ったりして、美姫さんは何もしないっていうの??えっ?そんな事が出来るの?

すると、お父さんが「クローン人間を作るってそう簡単にはいかないと思うんだ。まずは、シミュレーションしてみたら?」と言ってきた。

ナイス、お父さん。

「シミレーション?どうするの?」と美姫さん。

お父さんは、美姫さんの寝室から美姫さんの枕を持ってきた。そして
「この枕を本体の美姫さんとして考える。そして、美姫さんがクローン人間の方をやってみるんだよ。クローン人間だって生き物だよ。クローン人間の気持ちもわからないといけないだろう。」とお父さん。

納得しない表情をしながら、しぶしぶうなずく美姫さん。

次の日ー

枕と共にリビングにやってきた美姫さん。
自分の定位置に枕を置く。そして、いつも自分がやっている事をし始めた。

時間が経つにつれ、不機嫌な顔で自分の枕を睨みつける美姫さん。

そして、夕食が終わった後、ついにプリプリ怒り出した。

「何なの、本体。1mmも動かないでムカつくんですけど。人に全部させて。少しは、手を貸す気にはならないのか?!人としてサイテー。」と枕に向かって言った。

僕は笑いを堪える事で精一杯だった。

すると夕飯の片づけをしていたお父さんが「その気持ちがクローン人間の気持ちなんだよ。どうだ?そんな気持ちを抱きつつ一緒に生活できるか?」言った。

「……無理。」と美姫さんはポツリと言った。

そもそも、人はトイレに行かなかったりご飯を食べなかったりとか出来ないからねー。それに美姫さんが家に二人もいたら、ゾッとする。

おしまい

おすすめ