短編小説 ありのママ

なんだろな

第201話 斉藤家の一般常識

「ただいま~」僕が学校から家に帰るとリビングで美姫さんとお兄ちゃんが何やら深刻そうな顔をして話をしていた。

「あっ、おかえりショウ。」と美姫さんとお兄ちゃん。僕の顔をチラリと見たらまた2人で話をはじめた。

美姫さんの深刻そうな顔なんて、身体に悪い。

僕は、大急ぎで自分の部屋にランドセルを置き、手洗いうがいをしてリビングに向かう。

「どうしたの?」と僕が聞くと

「いい所にショウが帰ってきたよ。ショウは、掛け算は出来た方がいいと思う?」とお兄ちゃんが聞いてきた。

会話が平行線だ。まぁ、いいか。

「掛け算は出来た方がいいんじゃないの?」と僕。

「そうか…。」とお兄ちゃんは言い、ノートに【掛け算】と書いた。

僕はそのノートをのぞき込む。

【義務教育は中学校まで】とノートの上にデカデカと書いてあった。
その他にも【漢字は、小学校まででOKか、ショウに確認する】とか【昼寝は一日何回までOKか。母さん→無制限が良い】とかびっしりと書いてあった。

「何してるの?」と僕が聞くと

「あぁ、ほら常識って言うだろう。母さんと考えたんだ。常識って何だ?って。よく分からないからさ、まとめておこうと思って。ショウは常識って分かるか?」とお兄ちゃんが言った。

―常識…ね。

僕も考えるが、良く分からない。

なので話し合いに参加することにした。

「ショウ、漢字はどうだ?ショウの意見は?」とお兄ちゃん。

「漢字ね。今は、パソコンとかスマホですぐに調べられるから、知らなくても大丈夫なんじゃない?」と僕。だって、漢字は苦手だ。

「母さんは?」とお兄ちゃん。

「ん?漢字?知らない。」と美姫さん。

「じゃぁ、漢字は常識では無いという事で。」とお兄ちゃんは言い、【漢字は、小学校まででOKか、ショウに確認する】の文字に取り消し線を入れた。

「では、次に【お昼寝の回数】についてです。僕は、眠たいときに寝るので良いと思うので、母さんの意見に賛成です。」とお兄ちゃん。

「僕もどっちでもいいよ。」と僕がいう。まぁ、どうでもいいという事だ。

「私は、無制限が良いです~。」と美姫さん。

僕んちの昼寝の回数は無制限が常識になった。

こうして、いろんな決まり事をノートに書いていく。

常識って思ったよりも大変な事なんだと思った。

夕方、お父さんが仕事から帰ってきた。

「おぅ。みんなで何してるんだ?」とお父さん。

「僕んちの常識を考えてるんだよ。」と僕が言うと

お父さんは、ノートをじーっと見て一言。
「それ、ルールじゃない?」と言った。

常識ってなんですか?

おしまい

※この話はフィクションです。

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