短編小説 ありのママ

故意か意図か、それが一番大事

第199話 お父さんの優しさ?

美姫さんが、寝ている。

いつもの光景だ。

でも、ちょっと寝苦しそう。

だって真夏なのに毛布と布団と被っているから。

冷房のガンガン効いた部屋で、毛布と布団にくるまって寝るのが至福のひとときらしい。

いつもは、冷房ガンガンなんだけど、あんまりにも寒かったので僕が設定温度を上げた。

その様子を見たお父さんが「美姫さん、暑そうだなぁ~」とつぶやき、扇風機を持ってきた。

そして、美姫さんの足をお布団から出してあげ、扇風機の風を強風で美姫さんの足に直接当ててあげていた。

「これで、寝やすくなるだろう。」と大満足そうなお父さん。

………僕は、知っている。その行為が、危険だという事を。

少し前のテレビで【睡眠中に直接、風には当たらない様にしましょう。体温が下がりすぎ、最悪の場合死に至ります。】と言っていたことを。

僕は、お父さんの顔をじっと見た。

「どうした?ショウ。美姫さん、涼し気な顔をし始めたぞ。良かった。良かった。これでぐっすりと寝れるなぁ。」と美姫さんに微笑みかけるお父さん。

意図的には見えない。むしろ、愛情さえ感じる。


……でもな。。。いつもこき使われているからなぁ。。。
なんて考えてしまう僕の方が、いけないのか?

その時、お兄ちゃんが部屋から出てきた。

「昼寝の時に扇風機の風にあたってたから、なんかだるい。」とお兄ちゃん。

すると「風に直接あたるからだよ。扇風機の風は間接的にあてないと。」とお父さんがサラリと言った。

僕は、背中がゾゾゾとした。お父さんの顔を横目でチラリと見た。

そこには、先ほどから変わらないいつものお父さんがいた。

ねぇ、もしかして計画的なの?僕は、言葉を心に閉まった。

おしまい

※この話はフィクションです。

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