第178話 美姫さんvs指示語
美姫さん「あれ、ほらあれ。」
あれって何?
美姫さん「それとって~。」
それってどれ?
美姫さん「あれとこれ、どっちがいいかな?」
どっちって…。あれもこれもわからないよ。
美姫さん「あの人がね。」
あの人って誰?
美姫さん「この間食べたアレがまた食べたい。」
いつのなに?
「美姫さん。コレとかアレとか分かんないよ。もしかして、歳のせい?」と僕。
「何言ってるの。【指示語強化年間】だよ。指示語を強化しているの」と美姫さん。
「指示語って、強化するもの?」と僕が聞くと
「当たり前じゃん。【アレをとって】と【コレをとって】は意味が違うでしょ。」と自慢気な美姫さん。
ホント、言い訳は上手だわ。
「美姫さんってさ、口から先に生まれてきたんじゃない?」と僕が皮肉ると
「口から生まれてくるって…妖怪じゃん。ほら、アレ」と美姫さん。
「アレって?」と僕が聞くと
「頭に口がある妖怪。」と美姫さん。
「食わず女房ね。*1」と僕が言うと
「そうそう。それ。」と美姫さん。
…名前が出てこないだけじゃん!
おしまい
※この短編小説ありのママは、ほぼフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。