財産分与のススメ

短編小説:ありのママ第167話

僕んちの財産分与法

 

今回の登場人物紹介

ショウ:小学六年生の男の子
美姫さん:ショウくんの母親
お父さん(こうちゃん):ショウくんの父親
ユウ:ショウのお兄ちゃん
まさおくん(おじいちゃん):美姫さんの父親

 

 

学校から帰ってお兄ちゃんちに遊びに行く。

するとお兄ちゃんが神妙な面持ちで腕を組みながら何か考えている様だった。

 

「おにいちゃん。どうしたの?」と僕が聞くと

「もし、父さんと母さんが死んだときにマイナスの遺産があると相続する時にそのマイナスの遺産まで相続する権利があるらしいんだよ。」とお兄ちゃん。

 

えっ?それって借金?嫌だなぁ。。と僕は思う。

 

「それって、どうなるの?」と僕が聞くと

「それでな。考えたんだ。ショウは弟だから、俺がマイナスの遺産の方を相続して、ショウはプラスの遺産の方を相続すればいいって。」とお兄ちゃん。

 

「えーっ。お兄ちゃんがマイナスって嫌だよ。……でも、僕に借金が返せるかな?」と僕は不安になる。

「そうだよな。兄ちゃんだって借金を返せるかは不安だ。」とお兄ちゃん。

 

……借金嫌だなぁ。と考える……ふと思いつく。

 

「あのさ、悩んでても仕方がないから、借金があるか美姫さんに聞けばいいんじゃない?どうせ家にいるし。」と僕が言うと

「それもそうだな。無かったら考えなくていいし。」とお兄ちゃんもいい、僕とお兄ちゃんは美姫さんのいる家に向かう。

 

「ただいま~。」と僕が言うと

「あれ?ショウおかえり。ユウいなかったの?」と美姫さんの声が聞こえてきた。

 

僕とお兄ちゃんがリビングのドアを開けると、「ユウ、いるじゃん。」とソファーの上でまったりとしている美姫さんがいた。

 

僕とお兄ちゃんは美姫さんの目の前に正座をする。

「えっ?えっ?なに?」と美姫さんが僕たちの様子に驚いてる。

 

「あのさ、単刀直入に聞くけど、ここの家に借金はあるの?」とお兄ちゃんがズバリと聞く。

美姫さんの目がパチパチする。

「借金?」と美姫さんは難しい顔をした。

そして「さぁ、知らない。」と首を振り「この家って借金があるの?」と僕たちに聞いてきた。

 

僕とお兄ちゃんは顔を見合わせ、首をかしげる。

そんな事、僕たちが知るはずがない。

 

「もし、母さんと父さんも死んだときにマイナスの遺産があったらどちらが相続するか2人で悩んでた。」とお兄ちゃんが話す。

 

美姫さんが、神妙な面持ちでうなづきながら聞く。そして、しばらく沈黙が続いた後

 

「あのさ、こんなアイデアは?! 私がこうちゃんよりも先に死んだら、マイナスの遺産はこうちゃんにあげて、プラスの財産はユウとショウがわける。こうちゃんは、人生経験が長いから何とかしてくれると思う。もし、こうちゃんが先に死んだら、私がマイナスの遺産をもらう。プラスの遺産をユウとショウが分けて。」と美姫さんは言った。

 

「でも、美姫さん、マイナスの遺産どうするの?」と僕が聞くと

「まさおくんにあげるから大丈夫。ほら、なんだかんだ言ってもまさおくんはお金持ってるし。」とニッコリと美姫さん。

 

僕とお兄ちゃんは顔を見合わせてホッとする。

流石は美姫さんだ。

 

と、もう一つの可能性を思い出した。「もし、美姫さんもお父さんも一緒に死んだらどうするの?」と僕が言う。

 

「あぁ、それもあり得るかもしれないね。その時は、マイナスの遺産はまさおくんにあげてプラスの遺産をユウとショウで分ければいいよ。」と美姫さん。

 

僕とお兄ちゃんは顔を見合わせながらうなづく。流石は美姫さんだ。

 

「遺書を書いててもらわないとな。」とお兄ちゃん。

「そうだね。私も書いとかないと。」と美姫さんが言い、早速便箋を出し、遺書を書く。

 

「3人寄れば文殊の知恵だね。」とお兄ちゃんが言い、

「いろいろ考えたら腹減ったなぁ~」と笑った。

僕もホッとしてお腹が空いてきた。

 

それから少し経ってお父さんが帰ってきた。

「ユウ、来てたんだ~。夕飯食べるだろう。」とお父さんは言い、

テーブルに置いてあった【遺書】を見て、ギョッとした顔をした。

 

「この【遺書】ってなんだ?」とお父さん。

「あぁ、それね。」と僕がお父さんにさっきの話を説明する。

するとお父さん。

「それだと【遺言書】じゃないと効力をもたないぞ。」と教えてくれた。

 

僕が「お父さん、この家に借金ってあるの?」と聞くと

「さぁ、どうだと思う?」とお父さんはフフフと笑い、遺書を読む。

 

そして「これじゃ、おじいちゃんに長生きしてもらわないとなぁ。歳の順からするとおじいちゃんは先に亡くなる可能性が高いぞ。」とお父さんは言った。

 

3人寄っても文殊の知恵じゃないじゃん!!

僕たちは、3人で顔を見合わせる。

 

するとお父さんがニヤリ笑い、「じゃぁ、斎藤家のルールで決めますか。」と言った。

 

斎藤家のルール、それはジャンケン!!*1

 

負けられない戦いが始まった。

 

 

おしまい

 

 

 

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