fic-tion’s diary 

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事実は……?

短編小説:ありのママ ~スピンオフ⓶

ぼくvs怪しい人

 

今回の登場人物紹介

ショウ:小学六年生の男の子
美姫さん:ショウくんの母親。
お父さん(こうちゃん):ショウくんの父親。
謎の人物:???

 

 


今日も一日が始まる。今日はいつになくお父さんがバタバタしている。

あっちへ行ったりこっちへ行ったり。

 

「どうしたの、お父さん?」


お父さんは慌てていてもしっかりと答えてくれる。


「会社に遅刻しそうなんだよ。今日は目覚まし時計が鳴らなかったんだ」


……思えば昨日、美姫さんが何かしていたような気がする。


「じゃあ、仕事に行ってくるね」

 
そう言ってお父さんは出て行った。今日は土曜日。僕は学校はおやすみだから楽だ。

そうそう、目覚ましが止まってた理由は美姫さんが夕べ、お父さんが休日出勤という事を知り「ブラック企業め!!」って言いながら、目覚ましの電源をオフにしてたっけ。

 
ぼくがのんびりしていると、美姫さんが起きてきて

 
「おはよう、ショウ」

 
とまずぼくに話しかけてくる。

 
「おはよう、美姫さん」

 
とぼくも返事をすると、美姫さんは洗面所の方へ行ってしまった。珍しい。

 美姫さんは顔を洗いにいくような人じゃないのに。


今日は、きっと台風が来るのだろう、ぼくも、ゆっくりしようかな、

そんなことを考えていた。

 

思えば、この予感は的中したのかもしれない。

 
朝ごはん(お父さんが作ってくれた)を食べ、美姫さんのいつもの突拍子も

ないような話を聞き、

 
お昼ご飯(お父さんが作ってくれた)を食べ、そろそろ学校の宿題をしようと思っていた矢先、 


突然玄関の扉が開く音がした。


お父さん? 早かったな。でも、いつもの「ただいま」って言う声がない。

 
おじいちゃんかな? でも、おじいちゃんはいつも来る前に美姫さんに一言言う。

 
じゃあ、だれなのだろうと考える。

 
美姫さんは今、お昼寝タイムだ。

 
こうなってしまったら、テコでも起きない。

 
だから、ぼくが対応するしかない。実のところをいうと、とても怖い。

 だから、お父さんや、おじいちゃんであって欲しい。

 
「ただいま〜」

 
とドアを開けて、若い男の人が入ってきた。

 
「ごめんなさい、ここは斉藤の家ですが、何かご用でしょうか」

 
恐る恐るぼくは、怖いのを我慢して怪しい男の人に声をかける。

 
でも、まさかその怪しい人がこんなことを言ってくるなんてぼくは思っても見なかった。


「はい?な〜に兄弟の顔忘れてんの。俺は斉藤ユウ。この家の長男だよ」


はい?………ぼくの、お兄ちゃん?

 

変なお兄さんが僕のお兄ちゃんだと名乗ってきた。

 
「僕のお兄ちゃん?」

 
僕が変なお兄さんにそう問いかける。

 
「おう。そうだ。おれがお前の兄ちゃん」

 
すっごく爽やかな笑顔でそう返す変なお兄さん。でもなんでだろう、笑顔を見ていると

どこか美姫さんみたいに背中がゾゾゾーってする。

 
「母さんはいるか?」

 
母さん?あぁ、美姫さんのことか。いつも美姫さんって呼んでいたからつい反応が遅れてしまった。

 
「美姫さんはいるけど………」

 
「私がどうかした?」

 
美姫さんがお昼寝から目覚めたようだ。

 
「美姫さん、お客さん」

 
すると、美姫さんは面倒臭そうにソファから言った。

 
「ショウ、そういう時は、居留守を使いなさいって言ったでしょう」


美姫さん、そんなこと言ってる場合じゃ無いのに………


「おーい、母さん、オレだよオレ。今帰ったよ」


「自分、不器用ですから」

 
美姫さんのオレオレ詐欺対策だ。*1

 
「だからオレだって」

 
「自分、不器用ですから」

 
変なお兄さんは笑顔だ。

 
「自分、不器用ですから」

 
「オレオレ」

 
「自分、不器用ですから」

 
「オレオレ」

 
「自分、不器用ですから」

 
「オレオレ」

 
「自分、不器用ですから」

 
「もう、二人ともやめて!」

 さすがに二人のやりとりを聞いているこっちが疲れてきた。

 
「だってさ、母さん」

 
「そうだね、ユウ」

 
どうやら2人ともわかってたみたいだ。

 
「美姫さん………」

 
僕は思わずため息が出る。

 
「ユウ、おかえりー」

 
「ただいま、母さん」

 
っていうか、美姫さんが認めたっていうことは………

 
「この人は僕のお兄ちゃん!?」

 
美姫さんがあっけらかんと言い放つ。

 「そうだけど、なにか?」

 
僕は開いた口が塞がらなくなった。

 
「美姫さんっていくつ?」

 
「114億歳」

 
…………………コレって…………

 

 おしまい 

 

 

 

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