第185話 お兄ちゃんvs将来の夢
「お兄ちゃんって将来何になりたかったの?」と僕が聞く。
お兄ちゃんは未だにプラプラしていてちゃんとした定職についている様子がない。
「兄ちゃんの夢か……兄ちゃんはな、兄ちゃんになりたかった。」とお兄ちゃん。
お兄ちゃんになりたかったお兄ちゃん。。。。
僕の頭にハテナが灯る。
「お兄ちゃんは、弟か妹が欲しかったの?」と僕が聞くと
「あぁ、ごめん。兄ちゃんはな、自分になりたかったんだよ。つまり、自分自身のままで大きくなりたかったんだ。」とお兄ちゃんは言った。
自分自身のまま大きくなる……ってそのままじゃないの?
やっぱり僕の頭にハテナが灯る。
「どういう意味?」と僕が聞くと
「自分自身をシッカリと持ったまま大きくなりたかったんだろうな。」とお兄ちゃんは言い、「ショウ。自分をシッカリと持てよ。流されるな。巻き込まれるな。ショウはショウなんだからな。ショウ以上でもショウ以下でもない。そして兄ちゃんは兄ちゃんだ。」と僕に言った。
僕はお兄ちゃんちの帰り道、お兄ちゃんがあんなになった訳が分かった気がした。
美姫さんの顔がちらつくのは何故だろう。
おしまい
※この短編小説ありのママは、ほぼフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。