短編小説 ありのママ

今年もよろしく~ねっ

第160話 恐怖の元旦

トントントントン。

キッチンの方から音がする。

お父さんが朝ごはんを作ってくれている音だ。

魚の焼けるいい匂いもしてきた。

あれ?この匂いは……お餅だ。

今日はお正月。1月1日だ。

あっ。お雑煮の匂いもしてきたぞ。

僕は、ベットからガバッと起きる。

……今日はお正月。1月1日……。

目がパッチリと覚める。僕は、ドキドキしながら抜き足差し足でキッチンに向かう。

と、その途中でお父さんに会った。

お父さんと目が合う。お父さんがうなづく。

あぁ……やっぱり。。。

力の抜けた僕は、キッチンに続くドアを開ける。

「あら、ショウ。あけましておめでとう。早かったのね。」とにこやかに朝ごはんを作る美姫さんの姿があった。

ぼくんちの元旦は恐怖だ。

だって、美姫さんが働くから。

今年だって朝早く起きて、朝ごはんを準備してくれて…洗濯まで干したり…。

と言っても美味しい朝ごはんが待っているわけでは無い。

僕とお父さんは美姫さんのお正月の朝ごはんの味をおみくじみたいなものと考えている。

美味しければ、大吉。

不味いと末吉。

テキパキ働く美姫さんを見ていると物凄く怖いし、居心地が悪い。

でも、お昼の12時過ぎるといつもの美姫さんに戻る。

そして「今年一年もよく働いたわ~」と言う。

なんで美姫さんが働くかって?

【一年の計は元旦にあり】

この言葉にかかっている。

1月1日の午前中が1年の合計(まとめ)だと思っているらしいんだけど。

誰だこのコトワザを美姫さんに教えたのは。

おしまい

※この短編小説ありのママは、ほぼフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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