短編小説:美姫さんと【ホウレンソウ】

美姫さんと【ホウレンソウ】

 

 

「美姫さん、よろず屋の仕事をしたなら仕事したってちゃんと言わなくちゃ。」と仕事から帰ってきたお父さんがリビングに入ってくるなり、ソファーにゴロッとしている美姫さんに言う。*1

 

美姫さんがのそっと起き上がり「あー。おかえり。」とお父さんに言う。そしてまたソファーに寝ころぶ。

ゲームをしていた僕もお父さんのほうを振り返り「お父さんおかえりー。」と言う。

「ただいま。」とお父さんは言い「美姫さん、今の聞いてた?」と美姫さんの近くに行く。

 

「うーん。聞いてた?かな。」と起きあがり、曖昧な返事をする美姫さん。

「社会人として【ホウレンソウ】は大切なんだよ。信用を無くすよ。」とお父さんが美姫さんに言う。

 

「大丈夫。元々信用無いから~。」とニッコリ美姫さん。

「そういう問題じゃないでしょ。【ホウレンソウ】知ってる?」とお父さんが美姫さんに聞くと、美姫さんが「そりゃ、私だって【ホウレンソウ】ぐらい知ってるよ。」と少し怒り気味にお父さんに言う。

 

「じゃぁ、社会人として【ホウレンソウ】が大切なのはわかるよね。」とお父さん。

 

「人として大事なのは、わかってるよ。」とお父さんにイーッと顔を歪ませながら、美姫さんが言う。

 

お父さんも美姫さんに向かって同じ顔をする。そして、ようやく着替えをしにリビングを離れる。

 

子どもの喧嘩だな……。僕は思う。

 

お父さんがリビングから出て行ったのを確認して「まさおくんもなんでこうちゃんに言うかな?プライバシーの侵害だ。訴えてやる。」と愚痴る美姫さん。

 

プライバシーの侵害ってそんな意味だっけ?

 

「おじいちゃんに口止めしたの?」と僕が聞くと「あーっ。そういえば、してない。」と美姫さん。 

 

詰めが甘いよ美姫さん。

 

「でも、なんで今回の話に【ホウレンソウ】が出てきたんだろう。」と美姫さんが首をかしげる。

 

ン?もしかして美姫さん【ホウレンソウ】を分かったふりしたのかな?

 

「えっ?。美姫さん、【ホウレンソウ】知らないの?」と僕が聞くと「知ってるよ。」と美姫さん。「野菜じゃないよ。」と僕が言うと「そこまでアホじゃありません~。」と美姫さん。

 

「じゃぁ、どんな意味?」と僕が聞くと「【ホウレンソウ】の【ホウ】は法事の【ホウ】でしょ。【レン】はレンジの【レン】。【ソウ】は掃除の【ソウ】。法事は先祖を大切に。レンジさえあれば調理ができるから食べていけるし。掃除はしないとゴミ屋敷になるからダメって事で、【ホウレンソウ】って人として大事な事でしょ。」と得意げな美姫さん。

 

美姫さん、また同じこと繰り返すな……絶対に。

 

 おしまい

 

 

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