第173話 お兄ちゃんvs神さま
お兄ちゃんとコンビニで買い物をしてる時、レジの方から怒鳴り声が聞こえてきた。
店員さんがペコペコと頭を下げている。
「変な人がいるね。」と僕がお兄ちゃんに言うと「怒鳴る事ないのにな。」とお兄ちゃん。
僕は気になりチラチラみていると、話がついたのか「お客様は神さまだろうが。」とオジさんが捨て台詞を言い、コンビニを後にしようとしていた。
「良かった~。出て行ったね。」と僕がお兄ちゃんに話すと、何故かお兄ちゃんの目がキラキラしていた。
いやな胸騒ぎがする。
「急げ。ショウ。買い物は後からだ。」とお兄ちゃん。
僕は訳もわからず、手に取ってた商品を急いで棚に戻し、お兄ちゃんについて行く。
「あの、すみません。」とお兄ちゃんが歩いていたさっきのオジさんに声をかける。
「はぁ?」オジさんが振り向く。ギロリと睨まれる。僕はビクッとするが、お兄ちゃんは怯まない。
「神さまなんですよね。」とお兄ちゃんが言い出した。
「おぅ。おっ、そうだな。」とオジさん。さっきの睨みは何処へやら、急に神さまなんて言われて動揺している。
と、おもむろにポケットに手を入れて五円玉を出すお兄ちゃん。
「回らない寿司屋の寿司が食べたいです。」とお兄ちゃん。
はぁ?僕とオジさんは多分同じ事を考えてたと思う。
何言ってんだ?コイツ。
「神様だったら、願い事を叶えてくれますよね。回らない寿司屋の寿司が食べたいです。2人分。」とお兄ちゃんは目をキラキラさせながら懇願する。
その様子に怖くなったのか、オジさんは無言で向きを変え走って逃げた。
「やっぱ、5円じゃダメなのか…2人分だから10円がよかったのか?」と残念がるお兄ちゃん。
そこじゃないと思う。
家に帰るとおじいちゃんがお寿司を食べに連れて行ってくれた。
「ショウ。やっぱりさっきのオジさんは、神さまだったんだな。」とお兄ちゃん。
嫌な胸騒ぎしかしない。
つづく
※この短編小説ありのママは、フィクションです。登場人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係はありません。