短編小説 ありのママ

いかのおすし

第204話 美姫さんvs変質者

先日、学校で不審者対策の授業があった。

ひとりひとりが防犯意識を持っているか、先生が【いかのおすし】を紙に書かせた。

「【いかのおすし】と言っても、食べるものじゃありませんよ~」と先生。

教室に冷えた空気がはしる。そんな事を言っても誰も笑わない。

僕は、少しだけ愛想笑いをして、ちゃんとした【いかのおすし】を紙に書く。

い → インスタで
か → 拡散(かくさん)するぞと
の → 残(のこ)さず
お → お金を
す → 隅々(すみずみ)まで
し → 搾(しぼ)り取る。

これが僕の知っている【いかのおすし】だ。

スラスラと書けたのは美姫さんに叩き込まれたからだ。

「ショウ。いい?こっちは、弱みを握っているんだからね。」と美姫さんが教えてくれた。美姫さんいわく、弱みを握られた人は、どうしょうもなくお金をジャンジャン出してくれるらしい。

周りを見るとみんな、少し悩んでいる様だった。

「斉藤。書き終わったのか?」と先生が僕の元にやってきた。

僕は、少しドヤ顔で先生に紙を見せる。

なぜか、先生の動きが止まった。

僕は、先生の顔を見る。

先生の目がパチパチしている。

どうしたんだろう?僕が首をかしげていると

「斉藤。あとで職員室に来るように。」と先生は言い、僕の席から離れて行った。

僕は首をかしげる。

どこが間違っていたんだろう。

放課後、先生の元に行くと

「斉藤。あれは、自分で考えたのか?」と僕に聞いてきた。

「いえ。母から教えてもらいました。」と僕が言うと

先生は、少し黙った後でひと言

「斉藤。不審者は近づいたり、話をしたら駄目だからな。」と言った。

なるほど、不審者対策にもリモートが必要なんだな。

僕は、またひとつ賢くなった。

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