短編小説 ありのママ

自由研究のテーマに困ったら

第115話 美姫さんvs自由研究

おばあちゃんちに遊びに行くとおじいちゃんが、片付けをしていた。

「何してるの?」と僕が聞くと「美姫さんの思い出の品を片付けてるんだよ。」とおじいちゃんは言った。

「そんなにいっぱいは、お棺に入らないから、厳選しなさいって注意してたところ。」とおばあちゃん。

おじいちゃんは、自分のお棺に美姫さんとの思い出の品を入れて欲しいらしい。

「懐かしくて捨てられないなぁ~。」とおじいちゃん。

美姫さんが、幼稚園の頃に書いた絵や工作、小学校に入ってからの図工での作品……それは山のようにあった。

と、その中に『自由研究』と書かれたファイルがあった。僕が手に取ると「あぁ。美姫の自由研究ね。あっ、それ面白いよ。」とおばあちゃんが言った。

そのファイルの表紙には【乳酸菌の数を調べよう】と書かれていた。

“すごいな~美姫さん。でも、乳酸菌の数ってどうやって調べるんだ?”と僕は思いながらファイルをめくる。

ファイルには、いろいろな乳酸菌飲料や食べ物の乳酸菌の数が書かれていた。

「美姫さん。すごいじゃん。ちゃんと自由研究している。」と僕が驚いていると

「ショウ。それね、乳酸菌の入った食べ物のパッケージに書かれていた乳酸菌の数を書いただけだよ。」とおばあちゃん。

「えっ?」と僕が言うと

「ほんと、えっ?だよね。でもね、美姫に言わせたら『作ってる会社が嘘を書くわけがない。もし数えて違っていたら申し訳がない』んだって。会社が、せっかく書いてくれているのを無駄にしたらだめだって。」とおばあちゃん。

そして、「その他の美姫の自由研究も、面白かったよ。」とおばあちゃんは言った。

「何してたの?」と僕が聞くと

「その乳酸菌の数でしょ。違う年には、『先生が、夏休みにしか出来ないことを研究しなさい』って言ったって、夏休みにしか見れない昼ドラの相関図と各話の感想を書いてたし、あとは『毎日、観察できる観察日記を書きなさい』って言われた時は、植物も生物も苦手だからって、まさおくんの観察日記を書いてたよ。」とおばあちゃん。

乳酸菌の数・昼ドラの考察・父親の観察日記――。

まぁ、自由な研究ではあるけどね。

おしまい

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