短編小説 ありのママ

正しいは作られる。

第194話 美姫さんvs正義

美姫さんは、【正しい】とか【正義】って言葉が嫌いみたい。

「何が【正しい】じゃボケ。」ってテレビに向かってブツブツ言っている。

「【正解】はいいの?」と僕が聞くと

「【正解】なんてあるわけないじゃん。」と美姫さんは言う。

「テストの答えは?」と僕が言うと

「それは、先生たちの思う【正解】でしょ。ショウが学校で習ったことを覚えているのかのテストだからね。」と美姫さんは言う。

「じゃぁ、答えって変わってくるの?」と僕が聞くと

「その時その時で変わってくるよ。」と美姫さん。

「じゃぁ、学校で勉強する必要ないじゃん。」と僕が言うと

「世界共通のだいたいの決まり事を知るために行ってるんだよ。」と美姫さんは言う。

「じゃぁ、みんなが言っている【正しい】は?」と僕が聞く。

「ショウ。【正しい】なんて無いんだよ。裁くのは法律。【正しさ】とか【正義】は、自分だけの物。人に押し付けちゃダメなんだよ。ショウにはショウの【正義】と【正しさ】があって、私には私の【正義】と【正しさ】がある。」と美姫さん。

「なんで、みんなそれぞれ【正義】と【正しさ】は違うの?」と僕。

「だって、みんな同じ人じゃないじゃん。世界中がクローン人間なら【正義】も【正しさ】も一緒かもね~。」とニヤリと笑う美姫さん。

みんなが美姫さんのクローンだったら………とんでもなく、恐ろしい世の中だ。

「でも、テレビで【正しいやり方】とか言うじゃん。」と僕が反論すると

「多数決みたいなものでしょ。その道の専門的な人が“いいよ”って思うものがとりあえず【正しい】にしているだけじゃないの?明日には変わっているかもしれないし。」と美姫さん。

「じゃあ、美姫さんは何でテレビに向かって『何が正しいんじゃボケ。』って怒るの?テレビの人が【正しい】って言うのは良いんじゃないの?」と僕が聞く。

「表現の自由。」と美姫さん。

そう、正しい事なんてこの世にはない。

おしまい

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