第140話 美姫さんvs個人情報
ある日、ショッピングモール内で美姫さんが立ち止まる。
「どうしたの」と僕が聞くと
「あそこの勧誘スペースで貰えるタオルが欲しい」と美姫さん。
よく見ると美姫さんの好きなキャラクターとのコラボ商品だった。
「美姫さんの嫌いな個人情報と引き換えだよ。」と僕が言うと
「そうなんだよね。あの商品は私の個人情報に釣り合うかな?」と悩む美姫さん。
欲しいものに釣られる…美姫さんも人の子だなぁとおかしくなる。
ものすごい形相で、悩む美姫さん。
そして、何かアイデアが浮かんだ様で、満面の笑みを浮かべ、勧誘スペースにズカズカと乗り込んだ。
「ここに名前と住所をかけば、あの商品をいただけますか?」と美姫さんは聞いた。
「はい。書いて、下のアンケートまで答えていただけたら、プレゼントしますよ」とお兄さん。
美姫さんはお兄さんに紙をもらい、書き込んでいく。
アンケートから先に答え、名前の欄に
【エマ・ワトソン】と書いた。
「奥さん、ご自分のお名前書いてくださいね。」とお兄さん。
「私が【エマ・ワトソン】じゃないって証拠があるんですか?」と美姫さん。
「いや〜。【エマ・ワトソン】は見たことありますけど、貴女とは全然違いますよね。」とお兄さん
「あなたは、世界中の【エマ・ワトソン】をご存知なんですか?それとも同じ名前の人は2人といないと?」と美姫さん。
美姫さんの気迫に押されて苦笑いするお兄さん。
美姫さんはそのまま【エマ・ワトソン】とよくわからない海外の住所を書き、アンケートに答え、ニンマリとお兄さんに用紙を渡した。
お兄さんは、関わりたくないという表情をして美姫さんに商品を渡した。
商品を貰って喜ぶ美姫さん。
「嘘をついたらいけないんだよ。」と僕が言うと
「嘘なんかついてないよ。私は自称【エマ・ワトソン】です。」と美姫さん。
さて、美姫さんから個人情報を聞き出せる人は出てくるのだろうか?
おしまい