鼻が伸びますよ。

短編小説:ありのママ

美姫さんvs母親

 

今回の登場人物紹介

ショウ:小学六年生の男の子
美姫さん:ショウくんの母親

ユウ:ショウのお兄ちゃん
結花:美姫さんの友人で医者

 

美姫さんと二人で歩いているとどこからともなく

「ウギャー」という声に続き「まだ、帰りたくない!」と泣き叫ぶ小さな子どもの声が聞こえてきた。

 

「おぉっ。自己主張してますな~。」と美姫さんがニヤリとする。

 

「もう!!ママのいう事が聞けないんだったら、お医者さんとこに連れて行って注射してもらうからね。」と今度は、泣き叫んでいる子のお母さんの声が聞こえてきた。

 

「嫌だ!注射嫌だ!」とその子どもは更に泣き叫ぶ。

 

すると「ショウ。凄いね。人を操れる薬があるの?」と美姫さんが聞いてきた。

 

僕はいつものごとく、美姫さんの言ってる事が分からず首をかしげ「どういう意味?」と聞くと 

 

「今の女の人が言ってたじゃん。『ママのいう事が聞けないんだったら、注射をしてもらうよ』って。人を操れる凄い薬が発明されたんだね。私も欲しいなぁ。あっ。結花に頼んでみよう。」と美姫さん。

 

美姫さんは、注射無くても人を操ってるじゃん。

 

「美姫さん。【脅し文句】だと思うよ。注射って痛いから嫌じゃん。『いう事を聞かないんだったら、痛い事をしてもらうよ』って意味なんじゃない?」と僕が言うと

 

美姫さんはちょっとがっかりしたような表情をして「なんだ【脅し文句】なのか……。でもさ、『ママのいう事』って絶対なの?怒る理由がおかしいと思わない?パワハラ上司と一緒じゃん。」と言った。

 

でも、よく『お母さんの言う事が聞けないの!!』って怒ってるお母さん達を見てるような気がする。

 

 「美姫さんは僕が子どもの頃はどうしてたの?」と僕が聞くと

「その都度、話し合いをしてた。そしたらさ、口が達者になって自己主張の強い子になった。」と美姫さん。

 

「じゃあお兄ちゃんは?」また僕が聞くと

「ユウはね~、私と意見が食い違ったとき、最初はごねるんだけど、

私が話し合いを始めようとするといつも、『意見は一致しました。

この問題についてこれ以上の議論は必要ありません』って言って

絶対に話し合いさせようとしなかったんだよね~

無理やり始めようとすると『意見は一致しました。意見は一致しました。』

って繰り返すだけになっちゃうし。」

 

 

 お兄ちゃん……僕たちの性格って、生まれつきもあるんだね。

 

 

 

おしまい

 

 

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