短編小説 ありのママ

NO.

第200話 お兄ちゃんvsウソ電話詐欺

家の電話が鳴る。

美姫さんをチラリと見る。

安定の昼寝。電話の音ぐらいでは起きない。

「ハイもしもし。」とお兄ちゃんで電話に出た。

「えっ?息子?」とお兄ちゃんがビックリした様子。

息子のワードからは、何も浮かばない。

「そうなんですね。はい。わかりました。200万ですね。はい。」と電話の相手に言っているお兄ちゃん。

なんか、あやしい。

「はい。場所は、駅前の公園ですね。今から一時間後。はい。わかりました。」とお兄ちゃん。

とっても、あやしい。

「息子が来るんではなく、“田畑さん”が来られるのですね。わかりました。黒のスーツに赤のネクタイですね。はい。わかりました。」とメモをとるお兄ちゃん。

ものすごーくあやしい。

「では、のちほど。本当にうちの息子が申し訳ございません。」とお兄ちゃんは言い、電話を切った。

「誰だったの?」と僕が聞くと

「兄ちゃんの息子だそうだ。」とお兄ちゃんは言い、ネットで何やら調べ出した。

お兄ちゃんの息子?
えっ?お兄ちゃんに息子がいるの?
僕は、とっても驚く。これは、大ニュースだ。
でも、お兄ちゃんの息子って電話をかけれる年齢なの?

そんな、僕がドキドキしている間にお兄ちゃんはどこかに電話をはじめた。

「あぁ、もしもし。警察の方ですか?」とお兄ちゃん。

はぃ?

「あのですね。今、私の息子から電話がありまして、はい。『会社のお金を使い込んでしまったから、建て替えて欲しい』と言われました。」とお兄ちゃん。

はぃ?お兄ちゃんの息子って会社勤めしてるの?
ねぇ、お兄ちゃんの息子ってお兄ちゃんより年上なの?
まぁ、有り得ない話では無い。かもしれない。
良く分からないけど。

「で、ですね。私としては、お金を立て替えたいのはやまやまなんですが、それでは息子がダメになってしまうと思うんですよ。それでですね、警察の方に『横領罪』で捕まえてほしいとおもいまして。」とお兄ちゃん。

うん。僕もそう思う。横領して誰かが立て替えて無い事になってしまったらいけないと思う。でも、その前にそれってお兄ちゃんの息子なの?

「待ち合わせ場所はですね、駅前の公園です。“田畑さん”って方が来られるらしいので、息子の居場所を聞いて息子を逮捕してもらってもよろしいでしょうか?」とお兄ちゃん。

だよね。それが子どもの為にもなると思う。

と、お兄ちゃんが急にビックリする。「えっ?ウソ電話詐欺なんですか?手口が似ていると…はい。息子ですか?」とお兄ちゃんは言い、しばらく無言で考えるる。

うん、僕も詐欺だと思うけど。

「息子……。全く心当たりが無かったです。僕、一度も結婚もしてませんし、僕、20代前半です。」とお兄ちゃんは言い、「じゃぁ、田畑さんの所には僕が言って『息子はいない』って言った方が良いですね。」と続けた。

接触したら、絶対にダメだと思う。

「あぁ、無視すればいいんですね。あとは警察の方々のお仕事って事ですね。はい、分かりました。ありがとうございます。」とお兄ちゃんは電話を切った。

そして僕に一言
「兄ちゃん、息子なんかいなかった。」と笑った。

なぜ、そこに最初に気付かない。僕は、引きつった笑顔を返した。

おしまい

※この話はフィクションです。

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