短編小説 ありのママ

勧誘する同級生の対策とは

第121話 美姫さんvsマルチ同級生

学校から家に帰るとアイスがたくさん冷蔵庫に入っていた。

「どうしたの?これ?」と僕が聞くと

「よろず屋の報酬だよ。」と美姫さん。

「あれ?。夏は暑いからお休みじゃなかったの?」と僕が聞く。

美姫さんが新たによろず屋の労働条件の中に【暑い日は、仕事は休み】と追加した。

暑い日は仕事が休みって……、ただでさえ開店休業みたいなのにーと美姫さんに言ったら「世界一のホワイト企業を目指してますから。」だって。

「結花が、どうしてもって。今日じゃないとダメだって言ってたからね。報酬弾むからっていったから、アイスをたくさん買ってもらったんだよ。」と美姫さん。

世界一のホワイト企業は、報酬が食べ物ばっかり。

「で、何したの?」と僕が聞くと

「ほら、みてみて、ショウ。康夫さんすごいでしょ。」と美姫さんが一枚の写メを見せてくれた。

そこには、顔に痣があり、腕にも痣があり足をギブスし包帯でグルグルに巻かれて松葉杖をついている康夫さんの姿があった。

「えっ?。広瀬さんの頼みって……。」康夫さんの写メを見て僕は思わず絶句する。

もしかして、広瀬さんの頼みって康夫さんをボコボコにしろって事?

「これ、美姫さんがやったの?」と僕が聞くと

「そうだよ。上手でしょ。」と得意げな美姫さん。

いやいや、人を怪我させて上手でしょはないでしょ。と僕は美姫さんを軽蔑の目で見る。

すると「ショウ。勘違いしてる。康夫くん、怪我してないよ。これ、ボディペインティングだよ。足も、ギプスをしてるだけだよ。」と美姫さんが言った。

そして、今見せてくれた写メのひとつ前の写真を見せてくれた。

そこには、康夫さんの顔に痣を描いている美姫さんの姿が写っていた。

「えっ。これ、美姫さんがやったの?」と僕はまた同じ質問をしてしまった。

「だから、そうだよって言ったでしょ。」と美姫さん。

「すごいじゃん。美姫さん。」と僕が言うと美姫さんは、自慢げな顔をした。

「で、これと報酬と何が関係があるの?」と僕が聞くと

美姫さんが今日あった出来事を教えてくれた。

少し前に広瀬さんからよろず屋の仕事の依頼がきた。依頼内容は「康夫さんがマルチ商法の契約をしそうだから、知恵を貸して。」だった。

康夫さんの学生時代の同級生が、康夫さんの奥さんが医者という事を嗅ぎつけて、儲かるよ的な話をもちかけてきた。口の上手い同級生に康夫さんは、断るに断れなくって、広瀬さんにSOSを出した。それで、美姫さんの所に依頼がきたらしい。

今日がその友達と合って契約を結ぶ日だったみたい。

美姫さんの計画は、大怪我をした感じにした康夫さんと広瀬さんを一緒に友達の契約の場所に行かせる。口数の少ない康夫さんに何故か口元だけニコニコしている広瀬さん。

そして、広瀬さんがその表情を崩さないまま、康夫さんに一言もしゃべらせずに契約を断るってものだった。

「でもさ、面白そうだったから結花に奥さんを代わってもらったんだよね。」と美姫さん。

本番では、康夫さんと美姫さんが友達との待ち合わせの場所に行ったらしい。

康夫さんの姿にびっくりする友達に、うつむき加減に「いや、ちょっと……。」と小さい言葉で話す康夫さん。美姫さんは、終始口元だけニコニコして目は相手を威圧してたらしい。

その様子に友達も何かを感じ取ったのか契約は無かったことで良くなったみたい。

「それって、康夫さんが広瀬さんに怪我をさせられた感じに見せたの?」と僕が聞くと「ご名答~。奥さんが旦那に暴力をふるう様な家庭に関わりたくないでしょ。」と美姫さん。

その後、広瀬さんは、康夫さんの友達から【恐ろしい嫁】と言われることになったという事は言うまでもない。

おしまい

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