第210話 僕んちの新ルール
「ショウ。あのさー、これからの時代、マイノリティの意見も大事じゃない?やっぱり、多数決では大人数の意見だったり、声の大きい人の意見しか反映されないでしょ。意見は平等に入れていきたいっておもうんだよね。」と美姫さんが僕に言ってきた。
僕は「そうだね。」とうなづく。確かに美姫さんの意見しか反映されてない気がする。
「でね、いい案を思いついたんだ。」と美姫さん。
僕に悪寒がはしる。美姫さんの【いい案】はいい案では無い。
「へぇー」僕は気のない返事をする。
「まずは、家族会議にかける議題の主以外を紙に書く。例えば【部屋の模様替え】だとしたら、みんなそれぞれ【いつ・どこで・だれが・どうやって】を紙に書く。それから、だれの言葉を選ぶのかのあみだくじをして、文を完成させる。そうすれば、公平じゃない?」と美姫さんは、僕が話を聞いてもいないのに話し始めた。
今回のは、本気で何を言っているのか分からない。
僕がキョトンとしていると美姫さんが紙に書いて説明してくれた。

なんか、ちょっと面白そうだ。
「いいんじゃない?」と僕は言う。
美姫さんは、この話をお兄ちゃんにもしていた。
その夜、お父さんが帰ってきてから―――
「こうちゃん、家族会議の形を変えたいんだけど。」と美姫さん。
「どんなふうに?」とお父さんが聞く。
美姫さんは、僕に説明したように説明する。
すると「じゃぁ、手始めに家族会議の方法を変えるというのを議題にしようか。」とお父さんが言いだした。
各々に紙が配られる。
……えっと、
僕は考えながら文を作る。
【今日から/斉藤家で/家族全員が/美姫さんが決めた方法に】と僕は書いた。
あみだがはじまった。
僕の担当は、【誰が】になった。
【いつ】の担当は、おにいちゃん。
【どこで】の担当は、お父さん。
【どうやって】の担当は、美姫さん。
みんなが書いたものをつなげていく。
この世の終わりに月の見える丘で家族全員がワハハと笑いながら、家族会議の形を変える。
になった。
みんなの意見を聞くのは難しい。