第108話 美姫さんvs見たいテレビ?
朝から美姫さんが新聞を眺めて「あー、忙しい。あー、忙しい。さてどうするか?」とブツブツ言っている。
何か面白そうなイベントでも載っていたのかな?
僕が「何かあるの?」と聞くと「見て、ショウ。明日のテレビ。面白そうなのばっかりあるんだけど……どうしょう。」と新聞のテレビ欄を指さす。
僕のテンションは一気に下がる。
「レコーダーに録画すればいいんじゃない?」と僕が言うと「おぉっ。さすが小学生。」と美姫さんは言い、レコーダーに早速予約しようとする。
すると「ショウ。ピンチ。レコーダーの空き容量がない。」と美姫さんが言う。
僕もレコーダーを確認すると空き容量が無かった。「見たのを消せばいいんじゃないの?」と僕は言い、レコーダーの録画してある番組を見る。
美姫さんが録画した番組ばっかりだった。
「美姫さんが録画したものしか残ってないよ。」と僕は言い「どれ見た?」と美姫さんに撮ってある番組をひとつずつ聞いていく。
「それ見てない。それも見てない。」と言う美姫さん。
最初の10番組だけで、聞くのも疲れてきた。だってすべて“見てない”しか返事をしないから。
「古いのから見てなくても消すよ。」と僕が言うと「ダメ~。見たくなったらどうするの?!」と美姫さん。
「じゃぁ、ブルーレイに落とせばいいんじゃない。」と僕が言うと
「そうだね。それが一番いいね。こうちゃん帰ってきたら頼んどく。」と美姫さん。
美姫さんは、自称機械音痴だ。僕は、面倒だからお父さんに押し付けてるだけだと思っているけど。
ふと美姫さん専用のブルーレイ置き場を見てみると30枚程のダビング済みのブルーレイが置いてある。
「美姫さん。ちなみにだけど、ここに置いてあるブルーレイって見たの?」と僕が聞くと「まだ。」と返答する美姫さん。
「いつ見るの?」と僕が聞くと「気分がのったらね。」と美姫さん。
お父さんが帰ってきてから美姫さんがダビングを頼む。
僕は、美姫さんがお風呂に入っているすきに「美姫さん。ダビングしたブルーレイ、全然見てみてないみたいだよ。」とお父さんに報告する。
すると「あぁ、知ってるよ。」とお父さん。
「じゃぁ、なんでまたダビングするの?。ゴミが増えるだけじゃん。」と僕が言うとお父さんがニヤリとして「ショウ。見てごらん。」とお父さんが、美姫さん専用のブルーレイ置き場のブルーレイを一つ取り出す。
「あーっ。容器しかない。」と驚く僕。
そこにはブルーレイを入れる容器しかなかった。
「どうせ、美姫さん見ないだろう。だから、ダビングはしてないんだ。」とお父さん。
さすがお父さん。美姫さんの事、よくわかってる。
おしまい