短編小説:見た目vs中身

見た目vs中身

学校が終わって家に帰ると、僕は言葉を失った。

 

美姫さんがピンクの髪の色になっていたのだ。

 

僕はただいまを言う前に「どうしたの。その頭。」と美姫さんに聞く。

「可愛いでしょ~。」と自慢げな美姫さん。

「もっと年相応のお洒落をしようよ。」と僕が言うと「女性がお洒落をするのに年齢は関係ありません~。」と美姫さん。

 

それと意味が違うと思うよ。

 

しばらくしてお父さんが仕事から帰ってくると美姫さんの髪の毛を見て笑い出した。

「アハハハハ。それにしても、はっちゃけたなぁ~。」とお父さん。「どう?いい感じ?」と美姫さん。

「まぁ、いい感じだね。でも、大丈夫なのそれ。」とお父さん。

「大丈夫じゃない?。中身は変わらないんだし。」と美姫さん。

 

また、何かするのかな?

 

「何かするの?」と僕が聞くと「よろず屋のお仕事だよ。ちょっとやっかいな依頼人がいてね。断れなかったらしいんだ。」とお父さん。

 

髪の毛ピンクにするお仕事って何だろう?

 

それから数日後、家に帰ると美姫さんの髪の色は元に戻っていた。

「髪の色…元に戻したの?」と僕が聞くと「お仕事、終わったからね。あの髪の色、気に入ってたけど、ジロジロみられすぎ。」と美姫さん。

 

確かにものすごく目立っていた。テレビの芸能人の人がしてても違和感ないのに、身近に存在するとなると違和感があって不思議な感じだった。

 

「で、お仕事って何したの?」と僕が言うと「お仕事の依頼を聞きに行ったんだけどね、断られた。」と美姫さんが言った。

 

「えっ?」僕は、訳がわからなくなる。

 

美姫さんの話によると、康夫さんによろず屋の仕事を頼んだのが広瀬さんの病院のつながりがある人だった。ちょっと厄介な人なんだけど仕事上断れない人。

依頼自体も変な依頼だったらしい。

 

仕方がないので依頼を受けるべく、テンションをあげようと美姫さんが考えついたのが、髪をピンクし、年齢にそぐわないキャピキャピした洋服を着て、ド派手なお化粧にキラキラした付け爪を付け、肌の見える所にボディペイントをした。

 

そして、その依頼主の元に話をノリノリで聞きに行ったらしい。

 

美姫さんをひとめ見て、依頼主は依頼をすぐに断ったみたい。

 

「失礼だと思わない?人が、テンションまであげたのに、断るなんて。中身はいつもと同じなのに!!」と美姫さん。

 

確信犯だな。

 

美姫さんからその姿の写メを見せてもらったが、僕だってゾゾゾってしたからね。あっ、美姫さんの場合、中身もゾゾゾだ。

 

おしまい