第175話 増vs減
学校から帰るといつものごとく、美姫さんが
「おかえり。ショウ。あのね、聞いて!!」と言ってきた。
僕は心が湖のように広いので
「どうしたの?」と聞いてあげる。
「私、思春期かもしれない!!」と美姫さん。
はあ?意味不明。でも、まだ心の湖の水は池ぐらいあるから「どういう意味?」と聞いてあげる。
「最近ね、今までイライラしなかった事に物凄くイライラしたり、口ひげが今までなかったのに、濃くなった気がするんだよね。体型も変わってきたし。声も低くなってきているような気がする。」と美姫さん。
「それ、思春期じゃなくて更年期。」思わず、本音が出る。
僕の心の湖は、一瞬のうち乾いてしまったようだ。
すると美姫さんが「ショウの方こそ、イライラしちゃって更年期じゃん。」とひとこと。
僕のは、思春期。
おしまい
※この短編小説ありのママは、フィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません