短編小説 ありのママ

忖度のソノサキ

第156話 お兄ちゃんの職探しpartⅢ

 学校が終わって学校から帰っている途中に僕は見てはいけないものを見てしまった。

ビックリして二度見した。

何をみたかって?

お兄ちゃんが駅前にある【美容整形外科】と書かれた所から出てきたからだ。

見なかったことにした方がいいのか、お父さんに一応は報告したほうがいいのか、頭の中は色々な思いがグルグルと回る。

すると、お兄ちゃんが僕に気が付いた。

「ショウじゃないか?!あっ、良かった。頼みがあるんだけど。」とお兄ちゃんは言ってきた。

……やっぱり、内緒にしててほしいのかな?

と僕が複雑な気持ちでいると

「ショウ。お金貸して。」とお兄ちゃんは言ってきた。

僕は、目がテンになる。

オニイチャンハナニヲイッテイルノダロウ?

いやいや、あの建物から出てきたという事はそう言う事だ。お金は必要だ。

「いくらぐらい?」と言う文言が僕の口から出る。

「それがな、1000万円ぐらい」とお兄ちゃん。

僕の目はさらに点になる。

オニイチャンハナニヲイッテイルノダロウ?

とりあえず、冷静に対処しなければ。

「そんなには持ってないよ。僕、小学生だよ。」と僕は言う。

「そうだよなぁ。。。」とお兄ちゃんはため息をつく。

1000万円もどこを整形するのだろう?

そっちも心配だ。

「お兄ちゃん、どこを手術したいの?」と僕が聞くと

「顔を全てかな?」とお兄ちゃん。

えっ?

「自分の顔が嫌いなの?」と僕が恐る恐る聞くと

「自分の顔?大好きだよ。」とお兄ちゃん。

はぁ?

「だって、整形するんでしょ」と僕が言うと

「あぁ。職探しだよ。母さんが『忖度される人になれ』って言ったじゃん。だから。」とお兄ちゃん。

ん?

「整形と忖度とどう関係があるの?」と僕が聞くと

「総理に忖度されている、つまり総理が頭が上がらないって言ったら、総理の奥さんじゃないか。だから、奥さんになりすまそうと思ってな。病院にどのくらい費用がかかるか聞いたら、1000万はくだらないって言われた。」とお兄ちゃん。

「お兄ちゃん。成りすまして、総理の奥さんにはなれるの?!」と僕が聞くと

「ほら、俺、形から入るタイプだから」とお兄ちゃんは言った。

そうかもしれないけど、使いかた間違えてるよ。

おしまい

※この短編小説ありのママは、ほぼフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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