短編小説:ぼくの夏休み

 

ぼくの夏休み

夏休みが始まる。

「あぁ……。夏休みがはじまる!!。お昼作らなきゃいけない……。」と美姫さん。

「美姫さんは、お昼作らないじゃん。お父さんがお弁当作ってるでしょ。」と僕が言うと

「だって、世間の母親はそう言うらしいんだもん。たまには、母親気分味わいたいじゃない?!」と美姫さん。

 

美姫さん、母親でしょ!!

 

夏休み初日、「ショウ、修行の始まる時間だよ〜。」と美姫さんが僕を起こしにくる。

 

美姫さんいわく、いつもの学校よりも朝早く起きて行かないといけないラジオ体操は、修行らしい。

 

たしかに、休みなんだからゆっくり寝かせてくださいって

思う。

 

ラジオ体操から帰ってきて朝ごはんを食べ終わるとまた美姫さんが「修行の時間だね。」と言う。

 

このお勤めって言うのは、夏休みの宿題をする時間の事。自らしなきゃ前に進まない宿題は、修行らしい。

 

それを初めは、美姫さん面白い事言うな~と思っていた。が、ある年に気付いた。

 

夏休みは、本当に【修行】であることを。

 

えっ?なんでかって?

 

だって、40日近く一日中美姫さんの相手をしなきゃいけない。

「ショウ。何のテレビ見る?」とか「ショウ。今日は何して遊ぶ?」とか……。

 

この前なんかあんまりうるさかったから「美姫さん。ちょっと静かにしてくれる?」と言ったら、美姫さんは、なーんにもしゃべらなくなった。

 

初めは静かになってよかった~って思ってたけど、こっちの問いかけにも答えない。

 

「なんで、答えてくれないの?」と言うと「だって、ショウが静かにしろって言うから……。」と屁理屈を言う。

「じゃぁ、美姫さんは僕が死ねって言ったら死ぬの?」と聞くと「僕は死にましぇん。貴方が好きだから。」と美姫さん。

 

意味わかんない。

 

「意味わかんないんだけど。」と僕が言うと「名台詞なんだよ。トラックの前にパパーッて飛び出してね。『僕は死にましぇん。貴方が好きだから。』って言うの。」と美姫さん。

 

美姫さん。それ名シーンでしょ。その場面だから活きる言葉だと思うよ。

 

こんな感じで、40日近く過ごす毎日は、本当にゆっくりさせてくれって感じ。

 

だから夏休みは本当に【修行】している気持ちになるんだ。 

 

みなさんもどうですか?!美姫さんと昼夜問わずの40日間の修行!悟りがひらけるかも?

 

 

 

 

 

 おしまい