短編小説 ありのママ

届を出せば、満額

第220話 美姫さんvs接待 

ショウの二行日記
美姫さんが仕事をはじめた
1日で辞めて帰ってきた。

事の発端は、またしてもテレビだ。

「私も接待がうけたーい」その一言から始まった。

いつもは何もしないくせにこういう時だけ行動が早い。

次の日には仕事先を見つけてきた。

「ショウ。接待うけるために明日から働きます。」と美姫さん。

働く動機ってそんなものでいいのか?僕は首をかしげる。

その次の日、学校から帰ってくると「ショウ。仕事辞めた。」と美姫さんはプリプリ怒っていた。

なんとなく察しは付いていたが、確か今日は初日だったはずだ。

何があったのだろう。

「美姫さん何の仕事をしたの?」

僕が尋ねると

「ティッシュ配りだよ。ほら、ティッシュって必需品じゃん。無いと困るから貰えたらラッキーでしょ。そんな欲しい物配っている人には接待したくならない?」
と美姫さん。

「今時、ティッシュ配りなんて仕事がよくあったな」とお父さん。 

確かに…僕は見たことない

「そうなのよ。こうちゃん、どこを探しても条件の良いティッシュ配りの仕事が無くて……。だから、よろず屋美姫から依頼をして仕事をしました~。ポケットティッシュに【よろず屋美姫 お仕事承ります】って広告を付けたやつを配るの。よろず屋の仕事も入ってくるから、一石二鳥じゃない?」と美姫さん。

はぁ?自分が求人出して自分を採用したの?ちょっと意味がわからない。それに美姫さん、よろず屋の仕事ってする気があったの?

僕の頭には?がたくさん並ぶ。

だって、よろず屋美姫のホームページを見ると、まずデカデカと【ウチは環境に配慮を目指す企業ですので、電気・電波を考慮し会社には通信出来るものがありません。依頼は直接事務所までお越しください】って書いてあって、そのあとの“会社からのお知らせ”の所に【2020年3月より全面テレワークになりました】って書いてあって……テレワークで事務所にいないのに依頼は事務所に来いって仕事する気が無いよね。って思ってた。

「それで、なんで辞めて帰って来たの?接待は受けられなかったの?」と僕が聞くと

「誰もポケットティシュを受け取らないのよー」と美姫さんがプリプリ叫ぶ。

接待以前の問題ね……

後日、美姫さんが配るはずだったポケットティッシュが段ボールいっぱい、うちにやってきた。

良かったじゃん。美姫さん。ポケットティッシュがもらえたよ。

接待うけられたじゃん。

おしまい

おすすめ